代位弁済は、なんて読むの?
何だか聞き慣れない言葉ですよね。
「代位弁済」は「だいいべんさい」と読みます。
金融業界ではよく使われる言葉ですが、一般の方には全く馴染みのない言葉です。
意味は「借金を第三者が代わりに払う」と言う意味です。
ん? なんで代わりに払ってくれるの?
じゃぁ、借金の返済をしなくて良くなるんですね?
いえいえっ!
そんなに世の中甘くはありません。(笑)
代位弁済は、確かに債務者(お金を借りた人)の代わりに返済をしてくれますが、
決して債務者の支払い義務が無くなった訳ではありません。
それは一体どういうことなのでしょう?
そこで、この記事では代位弁済とは何か、
どのような流れで使われ、どのような内容のものなのか?
初めて「代位弁済」を聞く方にも分かるように、詳しく分かりやすく解説していきたいと思います。
代位弁済とは?
代位弁済は、
金融業界でよく使われる言葉で、金融機関・債務整理業界の専門用語です。
代位弁済とは、
借金を滞納した人の代わりに「保証会社」が仲介に入り、借金を一括返済で肩代わりすることを言います。
もっと簡単に言うと、
借金を第三者が代わりに払うことです。
そして、代位弁済について民法499条で定められていることは以下の内容です。
民法 第499条
債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。出典:民法第499条より
(参照:2022/08/11)
なにを言っているかというと…
債務者(借金をしている人)のために、
弁済(借金を返済)した者は、
債権者(借金を返してもらう権利がある人)に、
代位(他人に代わってその地位に就く、又は権利を行使)する。
法律用語なので短い文章なのに分かりにくいのですが、
「誰かの借金を代わりに払った人に、借金を返してもらう権利が移る」
と言っています。
間違え易いのですが、ただAがBになるだけの「代理」ではありません。
先ほども触れましたが、地位(権限)や権利も含め移る「代位」です。
代位弁済後は保証会社へ返済
借金の返済が長期間滞納すると金融機関は保証会社に「代位弁済請求」をします。
「借金が回収できないので代わりに支払ってください」と言う請求です。
そこで保証会社は初めて「代位弁済」をします。
代位弁済が実行されると、保証会社は本人に代わり金融機関に「一括返済」をします。
先ほどの説明では、金融機関が行える全ての権利が保証会社へ移ることになっていますね。
その後の保証会社への返済は、「一括払い」で請求されます。
当然と言えば当然の話なのですが、間違っても分割払いではありませんので注意してください。
代位弁済をされると、保証会社からの請求に対して、その支払いからは逃れることはできません。
なぜなら、保証会社には借金を返してもらう権限とその権利があるからです。
このように、代位弁済は民法499条で決められている法律なので、代位弁済をした保証会社には、逆らえないことになります。
支払い方法は、基本一括払いです。
もし支払いができない場合は、財産を差し押さえられてしまいます。
一括で支払える経済的余力があればいいのですが…
もし不安があるようならば、実績の豊富な法律家に相談をすることをオススメします。
保証会社の代位弁済は経済を回す
代位弁済は、
お金を貸す会社や企業のためにある法律ですが、実は、お金を借りる方にも必要な法律でもあるんです。
たとえば…
お金の貸し借りを当人同士だけでした場合、お金を借りた人が支払えなくなったら、貸した側は損をしてしまいます。
お金を貸すと言うことは、貸す側にしてみればとてもリスクのあることので、どうしても貸して欲しいと言われる金額を制限せざるを得ません。
しかし、
そこに「保証会社」が入って、万が一お金を借りた人が支払えなくなった時に「代位弁済」をしてお金を立て替えてくれれば、安心してお金を貸すことができます。
すると、安心して貸しやすくなる分、借りる方の人も必要な時に必要な分のお金が借りられます。
う~ん、いい感じに経済が回っているのは、保証会社が「代位弁済」をしてくれるお陰だと言うことです。
保証会社とは代位弁済以外何をするの?
保証会社とはどんな会社なのでしょう?
保証会社にも目を向けてみましょう。
銀行カードローンの場合の保証会社とは?
銀行カードローンの借り入れの時は、担保や保証人が要らない代わりに保証会社が付いています。
要するに、保証会社は「保証をする会社」担保や保証人の代わりと言うことです。
基本的に銀行カードローンに付く保証会社は、そのほとんどがその銀行の系列会社です。
各金融機関とその系列保証会社は以下の通りです。
都市銀行の一例
銀行カードローン | 保証会社 |
みずほ銀行カードローン | オリエントコーポレーション |
りそな銀行カードローン | りそなカード |
三菱UFJ銀行カードローン | アコム |
ネットバンクの一例
銀行カードローン | 保証会社 |
PayPay銀行カードローン | SMBCコンシューマーファイナンス |
楽天銀行スーパーローン | 楽天カード |
セブン銀行カードローン | アコム |
このように、同じ系列の会社で保証するので、
銀行側も安心して保証を受けられるんですね。
住宅ローンの場合の保証会社とは?
住宅ローンの場合、
保証会社は消費者金融系の会社ではなく、住宅ローンの保証を中心に扱う専門業者がほとんどです。
住宅ローンの保証会社の場合は、
扱う金額も借り入れ期間も、銀行系カードローンとは規模が違いますので業務内容も少々違います。
住宅ローンの物件は抵当権が付いていますので、代位弁済をした保証会社は抵当権を実行します。
不動産取引は専門的で複雑な手続きが多いため、時間と費用と手間のことを考えると、金融機関より若干考え方が優しい感じの印象があります。
住宅ローンの場合は交渉次第で対処のされ方が違うかもしれません。
代位弁済の流れ
ここからは、代位弁済が実行されるまでの流れを見て行きたいと思います。
金融機関からの督促
借金の返済が行き詰って来て1か月~2か月程滞納すると、金融機関から督促状が送られてきます。
主に書面が多いようですが、電話の場合もあります。
まだ、この段階で返済出来れば、代位弁済は実行されません。
保証会社が代位弁済
滞納も3か月を過ぎると、金融機関が保証会社に対して借金残高の返済を求める請求「代位弁済請求」をかけます。
すると、いよいよ代位弁済の準備が始まります。
保証会社からの請求
保証会社からの請求は、ある日突然やってきます。
金融機関ではない、保証会社がら借金返済を求める請求が来ます。
代位弁済が実行され、保証会社が金融機関に借金の残高を一括返済すると、
その時点で金融機関にあった全ての債権(借金の請求権など)保証会社に移ります。
とうとう代位弁済が実行されてしまい、
これから、保証会社からの借金に対する請求が始まることになります。
残念なことに代位弁済が行われる前ではなく、代位弁済が実行された後に「代位弁済通知」が送られてきますので、注意したくてもできないのが現状です。
代位弁済で起こる問題
ただ借金を返済する相手が保証会社に変わっただけか、と思われる代位弁済ですが、代位弁済が実行されると以下のような問題が次々と起こります。
一括返済
代位弁済が実行されて、借金の請求権などの債権が保証会社に移ると、一番衝撃的なのが借金の返済額です。
恐ろしいことに一括請求です。
借金を約3か月滞納すると分割払いの権利を失います。
分割払いの権利とは?
実は、借金を契約した時、お金を借りる人は「期限の利益」と言う権利が発生しています。
この「期限の利益」とは、決められた期日まで借金の返済をしなくてもいい権利です。
言変えれば、その期日までに払えばいいと言う権利です。
3か月連続で借金を滞納する辺りに金融機関から、事実上の最後勧告にあたる「期限の利益喪失通知」が書面で送られてきます。
この通知に記載された日までに返済されないと期限の利益が喪失します。
つまり、期限の利益を失った後に代位弁済が実行されますから、保証会社も金融機関へ一括返済をしますし、お金を借りた人にも一括請求をかけると言う訳なのです。
遅延損害金
代位弁済を実行された後には、遅延損害金も発生します。
もちろんですが、遅延損害金も上乗せされた金額を支払わなければいけません。
返済をしないでいると、遅延損害金も日々膨らんでいきますので、これはたまったものではありません。
保証人への督促
銀行カードローンでも、
金額が大きい場合や延滞履歴があるなど、
保証人や連帯保証人を付ける場合もあるかと思います。
その保証人に対する督促もrことを念頭に入れておかなければいけません。
信用情報
代位弁済が実行されてから、
なんとか借金の返済ができたとしても、延滞による代位弁済が実行された事実は変えることはできません。
代位弁済が実行されるほどの延滞は、信用情報機関にその事実を登録しないといけない法律があります。
よって、返済ができてもできなくても、信用情報に「延滞」の情報が登録されます。
いわゆる「ブラックリスト」に載ると言うことです。
ブラックリストに載ると、今後の金融取引に影響が出る可能性は非常に高いと思われます。
財産の差し押さえ
代位弁済が実行され返済を請求されていてもなお、滞納が続くようであれば、保証会社は財産を差し押さえてくるでしょう。
何も差し押さえられる財産が無いからと言って開き直ってはいけません。
強瀬執行でお給料だって差し押さえられてしまいます。
債権譲渡
代位弁済をした保証会社からさらに債権回収会社に債権譲渡がされることも多いです。
さらに回収のプロフェッショナルである債権回収会社に債権が移るケースなどもあります。
契約時にあらかじめ指定していた同じ会社の関連保証会社ではなく、債権回収会社というこれまでまったく関係のなかった業者に移ります。
債権回収会社は、回収の難しい債権を専門に扱う業者であり、回収のプロフェッショナルなので、お給料の差し押さえを受け入れるしか方法は無さそうです。
支払えない場合どうする
借金をしたのは本人だし、借りたものを返さない方がいけないにきまってますが、それでも返したくても返せないこともあります。
そんな時は一体どうすればいいのでしょうか?
分割を交渉
ここは頑張って分割払いにしてもらえるように、交渉するのはどうでしょうか?
いえいえ、それは無理があります。
第一、今まで散々滞納をしておいて、今更交渉を持ちかけたところで保証会社が応じてくれるとは、考えにくいです。
こんな時こそ、法律の専門家に相談をするべきと考えた方が得策です。
債務整理を検討
分割払いを交渉するなら、
弁護士や司法書士と言った法律の専門家に依頼をするべきです。
分割払いの交渉をするのであれば、任意整理を検討するといいでしょう。
法律の専門家は、依頼を受けると「受任通知」を送ります。
これで保証会社の督促が止まります。
そして、専門家ならより良い方法を知っています。
何と言っても、こちらは法律のプロフェッショナルなのですから。
適格なアドバイスや他の方法の提案など、依頼者のために動いてくれるはずです。
代位弁済のまとめ
代位弁済についてお分かり頂けたでしょうか。
聞き慣れない言葉ではありますが、代位弁済の意味と存在価値が分かったと思います。
では、おさらいをして行きましょう。
代位弁済とは
借金を滞納した人の代わりに「保証会社」が仲介に入り、借金を一括返済で肩代わりすること。
簡単に言うと借金を第三者が代わりに払うこと。
代位弁済は、金融機関が万が一借金を回収できなかった場合、金融機関を守るために保証会社が行う手法の一つ、保険のようなものです。
■代位弁済の流れ
・金融機関からの督促
・保証会社が貸主に代位弁済
・保証会社が借主へ請求
■代位弁済で起こること
・一括返済
・遅延損害金
・保証人への督促
・信用情報
・財産の差し押さえ
・債権譲渡
■支払えない場合
・分割を交渉
・債務整理を検討
誰しも借金をしたくて、している訳ではありません。
でも、放置すると余計にこじられてしまうのが、お金の問題です。
少しでも支払いに不安を感じたら、
周りの誰かに相談をしてください。
最終的には、法律の専門家に相談をするのが一番ベストです。