「ブラックリスト」とは、どんなリストでしょうか?
ここではブラックリストの基本から、
ブラックリストに載ってしまう条件、
ブラックリストに載ってしまったときの対処法など、
ブラックリストについて詳しく分かりやすく紹介しています。
ブラックリストとは?
金融業界でいう「ブラックリストに載る」とは、
信用情報機関の信用情報に事故情報として登録されるという意味合いです。
実際にブラックリストという黒い名簿があるわけではありません。
事実、信用情報機関も「ブラックリスト」は存在しないと言っています。
「ブラックリスト」が何を指すのか不明確で誤解を招くおそれがある。
出典:全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター・KSC)
(参照:2022-07-16)
JICCにはブラックリストという名称のものはありません。
出典:株式会社日本信用情報機構(JICC)公式サイト
(参照:2022-07-16)
当社が保有する信用情報に、ブラックリストという名のリストはありません。
出典:株式会社シー・アイ・シー(CIC)公式サイト
(参照:2022-07-16)
ブラックリストに載るとどうなる?
ブラックリストに載ると、
今使用しているクレジットカードも止められてしまいます。
現在使用できていても、各金融機関ごとの独自の定期審査や更新のタイミングで止められてしまうので使用できなくなるでしょう。
また、どの金融機関も警戒してお金を貸してくれなくなります。
ローンを組むこともクレジットカードを作ることもできません。
信用情報とは?
信用情報とは、
個人がいくら借りていて、どのくらい返しているかといった借金状況を管理しているCIC、JICC、KSC、という国が指定した信用情報機関の情報のことを言います。
<国が指定した信用情報機関>
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
信販会社系 - 株式会社日本信用情報機構(JICC)
消費者金融系 - 全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター・KSC)
銀行・信金・信組・農協系
クレジットカード会社・消費者金融・銀行などの金融機関は、JICC、CIC、KSC、いずれかの信用情報機関の会員になっています。
お金を貸す時の審査も、個人の収入状況照会や個人情報の確認とするのと同じように、信用情報機関に借金状況の照会や事故情報が無いかを必ず確認しています。
事故情報とは?
ここで言う事故情報とは、延滞や破産などの金融事故情報を言います。
例えばどのように事故情報が載るのかと言うと、以下のような情報が共有されます。
<支払いが遅れている人の情報>
「○○市の○○さんは○年から○ヶ月延滞中(支払いをしていいない状態)なので、○○さんは信用してお金を貸すと返済してもらえないかも知れません」
<債務整理をした人の情報>
「○○さんは、◯年◯月に自己破産をしましたので、10年間はお金を貸してはダメですよ」
と登録された情報のことです。
上記では分かりやすいようにと少々誇張して表現をしましたが、実際の事故情報の掲載方法は、現状の事実のみの掲載です。
・契約した会社名
・氏名
・生年月日
・電話番号
・契約の内容
・契約年月日
・契約額
・請求された額
・入金した額
・残高
・返済の状況
・入金の状況
など
このようなクレジットやローン等の契約内容や支払状況、残高などの事実だけを掲載しています。
この時は、事故情報を起こしてしまった理由や家族構成と言った個人情報は一切掲載されません。
また、この情報はずっと掲載されている訳ではありません。
掲載されなくなる時期は、基本的に5年、長くても10年と言われてます。
どんなことをすればブラックリストに載る?条件と期間について
どんな悪いことをすればブラックリストに載ってしまうのでしょうか。
ブラックリストに載る条件は、主に次の4つ。
1.長期延滞
2~3ヶ月過ぎても延滞した場合
2.位弁済
支払いができず保証会社が肩代わりした場合
3.債務整理
法的に借金の整理をした場合
4.強制解約
契約の約束が守れなかった場合
では、一つずつ詳しく見てみましょう。
1.長期延滞
長期延滞とは、支払日に返済がないまま2~3ヶ月過ぎた場合のことを言います。
正確には、異動情報(延滞情報)と言い「約定返済日より 61 日以上または 3 ヶ月以上支払いが延滞しているもの」と、決められています。
出典:JBA全公式サイトより
(参照:2022-07-16)
2~3ヶ月過ぎても延滞していると、信用情報に事故情報が登録されます。
つまり、ブラックリストに載るということです。
長期延滞している借金は、完済してから5年程経たないと信用情報から削除されません。
2.代位弁済(だいいべんさい)
代位弁済とは、保証会社などが本人の代わりに借金返済した場合のことを言います。
本人の代わりに借金返済と言っても、返済が金融機関から保証会社に移っただけで、借金が無くなった訳ではありません。
引き続き、保証会社に返済をしなければいけません。
金融機関の借金が払えなくなった場合、保証会社が肩代わりして金融会社に返済をすると、信用情報に事故情報が登録されます。
このことを「保証債務の履行」または「代位弁済」と言って事故情報の扱いになります。
出典:JBA全公式サイトより
(参照:2022-07-16)
代位弁済も、取引情報なので完済してから5年程経たないと信用情報から削除されません。
3.債務整理
債務整理とは、法的に借金の整理をした場合のことを言います。
法的な借金の整理とは、
任意整理(特定調停含む)、自己破産、個人再生の過払い金請求を除く、いずれかの手続きを言います。
債務整理の手続きを行うと、信用情報機関に事故情報登録がされます。
出典:JBA全公式サイトより
(参照:2022-07-16)
5年~10年程経たないと信用情報から削除されません。
4.強制解約
強制解約とは、契約不履行(契約違反)で契約が強制的に解除された場合のことを言います。
お金を借りる時に交わした約束が守られなかった場合を「契約不履行」と言います。
この契約不履行が原因で強制的に金融機関から契約を解除され場合でも、信用情報機関に事故情報登録がされます。
出典:JBA全公式サイトより
(参照:2022-07-16)
強制解約も、完済してから5年程経たないと信用情報から削除されません。
「ブラックリスト入り」と「ブラックリストに載る」の違いは?
ブラックリスト入りと、ブラックリストに載る、と何が違うのでしょうか?
ブラックリストに載ることを「ブラックリスト入り」と呼び、全く同じ意味なのですが、
実は、違った意味合いで使われることもあります。
違った意味合いを含めたブラックリスト入りとは、大きく分けて3種類の意味があります。
1. 信用情報に事故情報が載るという意味
2. 社内ブラックになるという意味
3. 申込みブラックになるという意味
それぞれの意味を確認しましょう。
1. 信用情報に事故情報が載るという意味
一般的に「ブラックリスト入り」と表現する場合、信用情報に事故情報が載るという意味と同じです。
表現が違うだけで意味するところは同じです。
「ブラックリスト入り」=「ブラックリストに載った情報」=「信用情報に載った事故情報」ということです。
支払いの遅れなど、初めに契約をしたことが守れなかった場合、信用情報に事故情報が一定期間の間載ってしまいます。
しかし、どんな原因で信用情報に事故情報が載った場合も、一定期間が経過すればその事故情報は自然消滅します。
2. 社内ブラックになるという意味
「社内ブラック」とは、借入やクレジットカードの支払いを延滞などしてしまうと、
滞納した金融機関だけの「顧客リスト」に事故情報が載ってしまうことを言います。
社内と言うくらいなので、その金融機関だけの独自のルールで決められた規定に当てはまらない場合に、事故情報として「顧客リスト」に載るのでしょう。
金融機関によってもちろんルールは様々です。
信用情報に登録された事故情報は、一定期間が経過すればその情報は自然消滅しますが、
その金融機関だけの「顧客リスト」には、支払いの遅れなどの事故情報が残ります。
例えば、楽天カードの支払いが遅れて信用情報に事故情報が登録され「ブラック入り」した場合、信用情報の事故情報は5年で自然消滅します。
しかし、5年以上経ってからも楽天カードは作れないと言った感じです。
グループ系列全てに顧客情報は残りますので、他の楽天のサービスも受けられないようです。
この「顧客リスト」に事故情報が1度でも載ると「社内ブラック」として扱われ、その事故情報は時間が経っても消えることはありません。
そして、その金融機関とそのグループ会社とは二度と取引ができません。
「社内ブラック」の情報は永遠に消えないということになりますが、あくまでもその金融機関だけの「顧客リスト」だけの話で、信用情報機関のような他の金融機関が共有する情報ではありません。
3. 申込みブラックになるという意味
「申込みブラック」とは、
短い期間に複数の金融機関へローンやクレジットカードの申込みをすることで、
審査に通りにくくなる状態になることを言います。
金融機関へローンやクレジットカードの申込みをすると、金融機関は必ず審査のために信用情報を確認します。
この時に「金融機関が信用情報を確認した」という記録が信用情報に残ります。
別の金融機関が審査のために信用情報を確認すると、この記録がすぐに出てきます。
短い期間に複数の金融機関へローンやクレジットカードの申込みをすると、信用情報では「○○さんはお金に困っていて手あたり次第お金を借りようとしているので、お金を貸すことには警戒した方が良さそうだ」と言う情報になります。
当然、信用情報を確認した別の金融機関は事故情報の内容を確認した後、警戒してローンやクレジットカードの審査を通しません。
なので、信用情報に金融事故情報が無くても「一度に複数の借入を希望している要注意人物」という注意喚起情報として、一時的にブラックリストに載った状態になるのです。
「申込みブラック」の記録が残るのは、申込みから約6か月間と短めです。
つまり、6か月後に自然に消滅してから、1社ずつ申し込めば審査が通りやすくなるでしょう。
自分がブラックリストに載っているか調べる方法
自分がブラックリストに載っているのか調べたい時に、今現在の信用情報を確認する方法はあるのでしょうか?
各信用情報機関に「本人開示制度」があります。
そのため自分の信用情報は、個人情報開示請求をすればをすれば確認することができます。
1,000円の手数料がかかりますが、Webサイトでも郵送でも確認することができます。
各信用情報機関によって、開示情報にばらつきがあります。
正確な情報は、各信用情報機関の公式サイトで確認をした方がいいでしょう。
ブラックリストの事故情報は消せる?
もしも、自分がブラックリストに載っていたら、事故情報は消してもらうことはできるのでしょうか?
ブラックリストに一度登録された事故情報を、取り消す制度も窓口もありません。
事故情報は取り消すことはできませんので、消滅するのを待つより他にないようです。
いつ消滅されるのかは信用情報機関にもよりますが、
登録された事故情報は、5年~10年経過すると自然に消滅します。
ただし、間違った情報は申請をして取り消すことができますので、各信用情報機関に問い合わせて申請書を取り寄せてください。
取り寄せ方は、各信用情報機関の公式サイトに掲載されています。
ブラックリストに載るとどんな影響がある?
ブラックリストに載ることで、どんな影響があるのでしょうか?
<ブラックリストによる制限>
・キャッシング・カードローンなど新たな借入
・新規クレジットカードの作成
・既存のクレジットカードの利用
・ETCカードの利用
・携帯電話の分割購入
・クレジット払いの賃貸契約
・保証人になる
・住宅ローン
キャッシング・カードローンなど新たな借入
キャッシング・カードローンの借入には必ず審査のため、
信用情報機関に事故情報が無いかなどの確認作業が行われます。
当然、信用情報に事故情報が載っている状態なので審査は通りません。
新規クレジットカードの作成
キャッシング・カードローン同様に、クレジットカードの新規契約も審査のため、信用情報機関に事故情報が無いかなどの確認作業が行われます。
こちらも、信用情報に事故情報が載っているので、カード会社の審査は通りません。
既存のクレジットカードの利用
ブラックリストに載ると、既に使用しているカードがすぐに使えなくなる訳ではありません。
しかし、各クレジットカード会社の独自の定期的な調査や次のカードの更新のタイミングで、使えなくなるのは確かです。
ETCカードの利用
仕事で車を使う方はブラックリストに載ると、ETCカードが利用できなくなることは非常に困るでしょう。
しかし、どうしてもETCカードが必要なら、クレジットカード付帯のETCカードではなく、パーソナルETCカードに変えるなど、工夫をすれば不便なく生活を送れます。
携帯電話の分割購入
ブラックリストに載ると、新規に携帯電話の機種本体の分割払いができません。
携帯電話自体は契約ができるでしょう。
しかし、携帯電話機種本体・スマートフォン機種本体の分割払いの審査は通りません。
よって、本体の支払い方法は、一括現金払い一択です。
クレジット払いの賃貸契約
ブラックリストに載ると、賃貸契約をすることが難しい場合があります。
個人信用情報機関や保証会社を通して賃貸契約をする場合は、審査が通らない場合があるからです。
また、過去に家賃を滞納した履歴があると賃貸借契約に影響する場合があります。
不動産会社に審査や保証会社について事前に確認をすること、入居しやすい物件を紹介してくれるかも知れません。
保証人になる
ブラックリストに載ると、保証人になることができなくなります。
保証人が必要なほどの借金は、借入する本人と保証人の審査も必要になって来るからです。
例えば、住宅ローン、マイカーローン、事業者ローン、奨学金など、これらは保証人が必要な借金です。
しかし、奨学金は「期間保証制度」という保証料を支払って連帯保証人になってもらう制度もあります。
住宅ローン
住宅ローンを組むことは基本的に難しいでしょう。
しかし、以下の準備しておけば、住宅ローンが組める確率が高まります。
・他に借金は全て完済
・収入を安定
・勤続年数を増やす
・頭金を出来るだけ多く用意をする
ポイントは完済歴と収入・勤続の安定です。
この2つのポイントを金融機関は重視する傾向がありますので、ブラックリストに載っても諦めずに、できることから始めましょう。
ブラックリストに載っても家族は影響ない?
ブラックリストに載ると、家族にも影響があるのではないかととても心配になりますよね。
ブラックリストに載ることによって、家族にどんな影響があるのでしょうか?
ブラックリストに載ったとしても、家族には一切の影響はありません。
生活に関する影響
ブラックリストの情報は、住民票にも戸籍には表示されません。
また、誰かに申告をする必要もありませんし、答える必要もありません。
ブラックリストに載っていても、本人や家族の就職も転職も影響は無いです。
また、就職先・転職先も個人の金融情報を調べることも無いですし、してはいけません。
よって、誰にも知られる心配は要らないということです。
ブラックリストは、信用情報に金融事故情報が記録されることですから、
金融事故情報以外に使用されることはありません。
なので、必要以上に怖がることはないです。
カードに関する影響
そして、ブラックリストに載っている本人以外の名義の家族カードなどについては、
今まで通り使うことだってできます。
ただ、クレジット、借入、ローンなどお金を借りることができなくなるだけで、今までより少しだけ節約が必要ですが、普通に生活を送ることができます。
ブラックリストに載っている本人については、従来のクレジットカードが使えないならデビットカードやプリペイドカードに変えれば、ブラックリストに載っていても利用することはできます。
ブラックリストのまとめ
ブラックリストについてのまとめです。
- 金融業界でいう「ブラックリスト」とは、信用情報機関のことを言い、「ブラックリストに載る」とは、信用情報に事故事情が載っているということ。
- 実際には「ブラックリスト」は存在しないが、一般的に認知された俗語。
- 借金を延滞したり、借金を法的に整理するなど、借金をするときに交わした約束が守れない(契約違反)場合、信用情報に事故情報として登録される。
- ブラックリストは自分で情報を確認することができるが、取り消すことはできない。
- ブラックリストに載った本人には様々な影響があるが、工夫次第で普通の生活が送れる。
また、その家族には一切影響は無い。
ブラックリスト状態の期間に借金完済を目指すことが一番大事なことです。
もし完済までに5年以上かかるのであれば、
債務整理(法による借金の整理をする方法)が得策かもしれません。
債務整理を検討する場合は、必ず、債務整理の実績が豊富な弁護士か司法書士に相談しましょう。
※実績の乏しいところに相談するとあなたの不利な結果になることもあります。
債務整理をすると「ブラックリスト」に載ると言われていますが、
既に、ブラックリストに載っている状態なので、気にする必要はありません。
何より、借金が減額されて、完済が早くなるなら、一石二鳥です。