期限の利益

期限の利益とはなんでしょうか?

実は、この「期限の利益」は借金を申し込んだ時点で、すでに借金をした方に発生している利益なんです。

この「期限の利益」のお陰で、毎月の返済をクレジット払いで支払うことができるのです。

この記事では、以下の内容について解説をしています。

・期限の利益とは何か
・期限の利益喪失とそのときに起こること
・期限の利益の喪失が起こったときの対処法

カードローンや住宅ローンの借金で悩んでいる方は、ぜひ参考にして頂けたらよろしいかと思います。

期限の利益とは

期限の利益とは、決められた期日まで、借金の返済をしなくていいという権利(利益)です。

期限の利益は、債務者(お金を借りる人)のための利益であると民法第136条で定められている法律です。

(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。

出典:法令検索 民法136条1項(期限の利益)より
(参照:2022-08-13)

この債務の支払の猶予(ゆうよ)、つまり「しなくていい」ことが期限の利益の本質と言えます。

また、期限の利益の効果についても民法第135条で定められている法律です。

(期限の到来の効果)
第百三十五条 法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。

出典:法令検索 民法136条1項(期限の利益)より
(参照:2022-08-13)

金融機関も期限の利益の効果が定められているため、返済途中でいきなり「やっぱり、貸したお金全部返して!」と返済を請求をしてきません。

この「期限の利益」のお陰で一括請求をされず、約束の日まで返済を「しなくていい」ため、分割のクレジット払い(後払い)ができると言うワケなんです。

現在、金融機関から借入れをするときの返済方法の主流は、口座振替の分割で返済をしていく契約になっていることがほとんどです。

たとえば、
契約時に約束した返済日が口座振替の毎月27日の分割払いだった場合、
毎月27日の前日までに口座に残高があるか確かめて、27日の口座引落しで返済すればいいという具合です。

期限の利益は、なかなか字が細かくて確認はしづらいですが、借金の契約時に交わした契約書の中に記載されています。

しかし、契約内容では「期限の利益の喪失」についても記載されています。

期限の利益の喪失とは

期限の利益の喪失とは、期限の利益が無くなってしまうことです。

期限の利益である「決められた期日まで、借金の返済をしなくていいという権利(利益)」が無くなることで、要するに「期日に縛られず、借金の返済を待ってもらえない」と言うことです。

期限の利益の喪失についても、民法第137条でその規定について定められている法律です。

(期限の利益の喪失)
第百三十七条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

出典:法令検索 民法136条1項(期限の利益)より
(参照:2022-08-13)

期限の利益の喪失には民法で定められた規定があります。

期限の利益の喪失条件とは

民法で定められている規定にあてはまると、法律上「期限の利益」は喪失します。

民法の規定では、次のような場合を期限の利益の喪失条件として定めています。

  • 破産手続き開始の決定を受けたとき
    債務整理の自己破産が裁判所に正式に受付けられたときのことです。
  • 担保を滅失させ、損傷させ、または減少させたとき
    お金を借りるときに設定した担保が、何らかの理由で無くなってしまったときのことです。
  • 担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき
    返済ができず、担保を差し出さなければいけないのに、担保を差し出さないときのこと。

以上で挙げた条件が法律上の期限の利益の喪失です。

これに加えて金融機関は、契約内容に会社独自の条件も設定しています。

会社独自の規定をいくつか例を挙げてみましょう、

・契約された期日までに返済しなかった
・債務整理(再生手続き)をした
・契約時の申請にウソの申告をした
・手形の不渡りを出した
・差押さえや仮差押さえされた
・反社会的勢力と判明した
・契約違反をした
・債務者の住所が不明になった
・債務者が死亡した

などの規定が契約書に盛り込まれています。
お金の借入の際は、契約書の内容の確認をすることは、とても大事なことです。

期限の利益が喪失してしまうと、お金を借りた人は借りたお金を一括で返済しなければいけなくなります。

期限の利益の喪失で起こること

では、もしも期限の利益が喪失してしまった場合、何が起きるにでしょうか?

期限の利益が喪失した場合に考えらえる事柄を見てみましょう。

・期限の利益喪失通知が届く
・残金の一括返済を請求される
・信用情報に事故情報が登録される

期限の利益喪失通知が届く

借金の返済を滞納すると、金融機関からある日突然一括請求をかけられるワケではありません。

その前に金融機関から「期限の利益喪失通知」が必ず届きます。

その通知の内容は、指定された期日までに返済が無ければ「期限の利益」が喪失すると言う内容です。
この通知は事実上の最後警告です。

証拠として残すため書面で届きますので、送付物は必ず確認をしないといけません。

残金の一括返済を請求される

「期限の利益喪失通知」が届いても借金の返済がされなければ期限の利益が喪失します。

債務の支払の猶予である期限の利益は無効になり、金融機関は借金の残金を一括で請求することができます。

金融機関の借金の滞納の場合

消費者金融や銀行などの返済を滞納した場合、残金を一括で返済するように求められます。

それでも、返済しない場合は、保証会社が金融機関に「代位弁済」して、借金の回収権が保証会社に移ります。
そうなると、今後は金融機関ではなく保証会社へ返済をしなければいけません。

消費者金融や銀行などの契約では、担保が設定されていない場合がほとんどですが、担保が設定されている場合は、担保になる財産が差し押さえ換金して残債を回収します。

担保が設定されていない場合は、最終的に民事訴訟を起こされて給与の差し押さえなどが実行れます。

また、保証人がいる場合は保証人へ返済を請求することになります。

住宅ローンの滞納の場合

住宅ローンの場合は、担保が不動産に付いているので、自宅を手放さなければならなくなります。

住宅ローンの場合は担保として自宅に抵当権が付いています。
ローンの返済を滞納すると、自宅は競売にかけられてしまい自宅を失うことになります。

自宅を競売にかけられて、売却金でローンの支払いができればいいのですが、自宅を処分しても借金が残ってしまうこともあります。

この場合の残った借金も一括払いでの返済が基本ですから、結果自宅を失って尚且つ残った借金が一括請求となります。

期限の利益の喪失が起こったときの対処法

期限の利益の喪失が起こったのときは以下の方法で対処してみましょう。

一括返済をする

支払えるのであれば、一括返済をすることが一番望ましいでしょう。

ただ、借金の返済ができないほどですからとても難しいのが現実だと思います。

金融機関と交渉する

金融機関に直接分割払いにしてもらえないか交渉をしてみるのも一つの方法です。

もう少しだけ待ってもらえれば借金の支払いができそうなら、交渉をしてみる価値はあります。

ただし、交渉に応じてくれるかは相手次第なのです。

債務整理をする

借金の返済が困難になったら、債務整理を考えた方がいいでしょう。

費用が心配と言う方もいるかも知れませんが、借金問題はプロに任せる方が、逆に金銭的にメリットが多い場合あります。

専門家の力を借りれば、借金の返済を猶予されたり、場合により減額や免除と言ったことも可能です。

債務整理の実績豊富な弁護士や司法書士の場合、
無料相談を実施していることが多いので、まずは相談してみるとよいでしょう。

期限の利益のまとめ

期限の利益とは?喪失してしまったら?その対処法は?について詳しく解説してきましたが、
おさらいをしましょう。

期限の利益とは?

決められた期日まで、借金の返済をしなくていいという権利(利益)です。

期限の利益が喪失してしまったら?

威厳の利益が失われることです。
そして、期日に縛られず、借金の返済を待ってもらえないことになります。

期限の利益が喪失したときの対処法は?

1.一括返済に応じる
2.金融機関に交渉する
3.債務整理をする

もし、金融機関や保証会社から「期限の利益喪失通知」や「代位弁済通知」が送られてきたら、法律家の力を借りないと非常に厳しい状況です。

この通知のタイミングで、無理をせず債務整理の実績豊富な専門家に相談をすることをオススメします。