任意整理とは、債務整理手続きの1種。
消費者金融などを利用して借金返済が苦しくなった場合には、
任意整理によってスッキリ解決することがよくあります。
とは言っても任意整理にもデメリットがあります。
では、任意整理にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
このことを正しく理解しておかないと、
任意整理を利用した場合に予測していなかった不利益を受けることもあるので、
非常に重要な問題になります。
そこで今回は、任意整理のメリットとデメリットについて、先生に聞いてみましょう。
任意整理の5つのデメリット!
(アシスタント)
先生、こんにちは。
(先生)
こんにちは。
任意整理とは、債権者と直接交渉して借金返済額と返済方法を決め直す手続きのことですよ。
(アシスタント)
そうですよね。
多くの債務者が任意整理を利用して借金問題を解決していると思います。
この任意整理のデメリットも知っておきたいので、
任意整理のデメリットがあれば教えてください。
1. ブラックリスト状態になる
(先生)
任意整理をした場合には、
いわゆるブラックリスト状態になってしまうことがデメリットの1つですよ。
(アシスタント)
ブラックリスト状態とは、
ローンやクレジットカードなどの利用ができない状態のことですよね?
(先生)
そうです。
このことは任意整理に限りませんが、
債務整理手続きを利用すると、信用情報機関が保有している個人信用情報に事故情報が記録されてしまいます。
貸金業者や銀行等は、貸し付けの審査の際に個人信用情報を参照するので、
そのときに事故情報が記録されていると、審査に通らなくなってしまいます。
(アシスタント)
そういうことなんですね。
そのように、個人信用情報に事故情報が記録されて、
ローンやクレジットの利用ができない状態のことを、
一般的にブラックリスト状態と言っているのですね。
(先生)
そうです。
ただ、任意整理でブラックリスト状態になっても、
それが永遠に続くわけではありませんよ。
(アシスタント)
任意整理手続後何年か経てば、
事故情報は消してもらえるんですか?
(先生)
そういうことです。
任意整理の場合には、原則として手続き後5年が経過すれば事故情報は消除されます。
(アシスタント)
じゃあ、手続き後5年くらい経てば、
また自分名義でもローンを組むことができるのですね。
(先生)
そういうことです。
2. 借金額が多すぎると利用出来ない
(先生)
任意整理のデメリットとしては、
借金の金額があまりに大きい場合、
利用しにくいという問題がありますよ。
(アシスタント)
それは、任意整理では、
利息制限法を超過した利率での取引がない限り、
大幅な借金の減額ができないからですか?
(先生)
そうです。
上限利率を超える取引がない場合には、
借金の元本はほとんどそのまま残ってしまいますよ。
(アシスタント)
そうなんですね。
それでは、多額の借金がある場合には全額の返済が必要になるので、
返済期間をいくら延ばしても返済仕切れないことになってしまうのですね。
(先生)
そういうことです。
たとえば借金額が500万円ある場合、
5年返済にしても月々の支払い額が8万3千円以上になってしまいます。
このような支払は、かなり厳しいと感じる人が多いはずです。
(アシスタント)
なるほど。
わかりました。
3. 手続き後に返済が残る
(先生)
任意整理のデメリットとして、
手続き後に支払が残ってしまうということもあります。
(アシスタント)
任意整理では借金返済額と返済方法を決め直すけれども、
決まった借金については完済まで支払っていく必要があるからですね。
(先生)
そういうことです。
もし、任意整理後の支払いが途中で出来なくなったら、任意整理での解決は無駄になります。
その場合には、あらためて個人再生や自己破産などの別の債務整理手続きを利用する必要が出てきますよ。
(アシスタント)
そうなんですね。
じゃあ、任意整理後の支払いは、
くれぐれも滞納しないようにきちんと支払う必要がありますね。
4. 収入が必要になる
(先生)
任意整理では、手続き後に支払が残ります。
だから、任意整理を利用する場合には、
支払ができるだけの収入が必要になりますよ。
(アシスタント)
具体的にはどのくらいの収入が必要なんですか?
(先生)
それについては、手続き後どのくらいの支払が残るかによって異なります。
たとえば手続き後の支払いが月額3万円なら、
少なくとも3万円を毎月支払っていけるだけの収入が必要になります。
(アシスタント)
じゃあ、まったくの無職無収入の人は利用出来ないのですね。
(先生)
そういうことです。
ただし、専業主婦の場合などで、
夫の給料から返済ができる人であれば、
任意整理をすることも可能ですよ。
(アシスタント)
なるほど。
必ずしも自分の収入でなくてもいいのですね。
(先生)
そういうことです。
任意整理では、ともかく支払いさえ出来れば良いので、
どのような収入であってもかまいません。
年金やアルバイト生活などの人でも、
返済ができるに足りる収入があれば、任意整理はできますよ。
(アシスタント)
わかりました。
5. 任意整理に応じない業者がいる
(先生)
任意整理の大きなデメリットとして、
任意整理の話し合いに応じない業者がいるという問題がありますよ。
(アシスタント)
任意整理は、任意で債権者と直接交渉をする手続きだから、
債権者に話し合いを強制することができないのですね。
(先生)
そういうことです。
実際、最近は任意整理の交渉に応じない業者が増えてきているとも言われています。
(アシスタント)
話し合いに応じてもらえない場合には、
どのようにして解決すればいいんでしょうか?
(先生)
その場合には、個人再生や自己破産などの別の債務整理手続きを利用することになります。
これらの手続きの場合には、裁判所を利用した強制的な手続きなので、
債権者が嫌だと思っても、拒否することができないのです。
(アシスタント)
なるほど。
個人再生なら強制的に借金が減額されるし、
自己破産なら強制的に借金がなくなるのですね。
(先生)
そういうことです。
任意整理の6つのメリット!
(アシスタント)
先生、次は任意整理のメリットについて教えてください。
1. 利息制限法引き直し計算によって借金を減額出来る
(先生)
任意整理のメリットの1つ目として、
利息制限法を超過した利率での取引がある場合に、
借金を元本ごと大幅に減額出来るということがありますよ。
(アシスタント)
借金する場合の利率は、
利息制限法で上限が定められているのですよね?
(先生)
そうです。
借金額が10万円未満の場合には年率20%、
借金額が10万円以上100万円未満までは年率18%、
借金額が100万円以上の場合には年率15%が上限となりますよ。
借金額 | 利息の上限 |
---|---|
10万円未満 | 年率20% |
10万円以上100万円未満 | 年率18% |
100万円以上 | 年率15% |
(アシスタント)
過去には、消費者金融などは、
それより高い金利で取引することが多かったのですか?
(先生)
そうです。
利息制限法の改正前(平成22年6月より前)は、
一定の要件を満たせば制限利率を超える利息が認められる余地があったので、
多くの消費者金融やクレジットカード会社などが、
上限金利を超える利率で貸し付けをしていました。
(アシスタント)
でも、実際にはそのようなことは認められないのですよね?
(先生)
はい。
だから、過去に利息制限法を超える利率で支払った利息については、
実際には支払う必要がないお金だったことになります。
そこで、払いすぎ利息となって借金の元本から差し引かれます。
このことによって、借金額が大きく減額されるのですよ。
(アシスタント)
任意整理によって、
借金が0になることはありますか?
(先生)
はい。
そのようなこともあります。
2. 合意後の将来利息をカット出来る
(アシスタント)
任意整理では、利息制限法を超える利率での取引がないと借金の額が減らないのですよね。
その場合にはメリットはないのですか?
(先生)
そんなことはありません。
任意整理をする場合、
債権者との合意後の将来利息が全額カットするのが普通なので、
このことによって大きく借金返済額を減らすことができますよ。
(アシスタント)
現在の契約では、消費者金融などの業者に対して完済まで利息を支払い続ける必要があるけれども、任意整理をするとそれが要らなくなるのですね。
(先生)
そういうことです。
その分返済がかなり楽になりますよ。
3. 返済期間を延ばして月々の返済額を減らせる
(アシスタント)
任意整理をすると、借金返済期間にも影響はあるんでしょうか?
(先生)
あります。
任意整理をする場合には、借金の返済期間についても決め直します。
通常3年~5年程度にすることが多いですが、
それが難しい場合には、債権者との交渉によって更に延ばすこともできますよ。
(アシスタント)
それは助かりますね。
返済期間が延びたら、その分月々の返済額も減りますよね?
(先生)
もちろんです。
このことによって、苦しかった借金返済が楽になって、なんとか完済することができるようになりますよ。
(アシスタント)
それは助かりますね。
4. 過払い金請求できることがある
(先生)
任意整理では、借金を利息制限法に引き直し計算しますが、
その過程で過払い金が発見されることがありますよ。
(アシスタント)
それは、払いすぎ利息が多額になりすぎて、
借金の元本を完済してしまっている場合のことですね。
(先生)
そういうことです。
完済してもさらに利息を払いすぎているので、
その払いすぎた分を取り戻すことができるのです。
(アシスタント)
それは助かりますね。
任意整理の手続き内で、
一緒に過払い金請求することができるんですか?
(先生)
できます。
任意整理では、同じ手続き内で過払い金請求もできることが大きなメリットとなります。
このことは、手続き内で過払い金請求ができない特定調停にはない任意整理の特徴です。
過払い金の金額は、ときには100万円を超えることもありますよ。
(アシスタント)
それは助かりますね。
5. 続きが簡単で期間も短い
(アシスタント)
任意整理は裁判所を利用しないで債権者と直接交渉をするということなので、
手続き方法が簡単なのではないですか?
(先生)
はい、そのとおりです。
裁判所に申立をする必要はありませんし、
裁判所に行く必要もないので、いろいろな負担が軽くなりますよ。
(アシスタント)
必要書類なども少ないのでしょうか?
(先生)
他の債務整理手続きに比べてとても少ないです。
債権者との契約書すら、なくても手続出来るくらいです。
(アシスタント)
あと、任意整理では、かかる期間も短いんですか?
(先生)
はい。
任意整理は、他の債務整理手続きと比べると簡易な手続きなので、かかる期間も短めです。
具体的には、だいたい3ヶ月程度とみておけば良いでしょう。
(アシスタント)
なるほど。
でも、債権者の対応次第では長引くこともありそうですね。
(先生)
はい。
任意整理では、債権者と直接交渉をするので、
債権者が早く応答すればその分早く手続きが進みますし、
債権者がなかなか返事をしてこなければ、その分手続きは長引きますよ。
(アシスタント)
債権者との交渉がこじれてしまった場合などにも、手続きが長引きそうですね。
(先生)
確かにそのようなことはありますね。
ただ、他の債務整理手続きと比べた場合、
総じて手続きにかかる期間が短めだとは言えますよ。
(アシスタント)
わかりました。
6. 費用が安い
(先生)
任意整理は、債務整理方法の中でも簡易な手続きなので、その分かかる費用も安いですよ。
(アシスタント)
そうなんですね。
だいたいどのくらいの費用がかかるんでしょうか?
(先生)
任意整理では、手続きにかかる実費がほとんどありません。
債権者との郵便や通信費用くらいです。
だから、自分で手続きした場合には
1万円もかからないことが多いですよ。
(アシスタント)
そうなんですね。
弁護士に依頼した場合も、費用は安いんですか?
(先生)
はい、安いです。
任意整理の弁護士費用は、債権者1件について着手金が2万円~4万円程度です。
この金額は、他の債務整理手続きに比べるとかなり安くなります。
(アシスタント)
他の債務整理手続きだと、
弁護士費用はどのくらいになるんですか?
(先生)
たとえば個人再生の場合には、
着手金がだいたい30万円~50万円くらいになりますよ。
(アシスタント)
それはかなり高いですね。
じゃあ、任意整理を利用すると、
手続きにかかる費用を抑えられるというメリットもありますね。
(先生)
そういうことです。
まとめ
今回は、任意整理のメリットとデメリットについて解説しました。
任意整理をすると、利息制限法を超過した取引があれば借金を大幅に減額できますし、
将来利息をカットするなどして借金返済金額を大きく減らすことなどができます。
ただ、任意整理をすると、ブラックリスト状態になりますし、
借金額が大きすぎる場合には利用出来ないなどのデメリットもあります。
任意整理を利用する場合には、
これらのメリットとデメリットを正しく理解して手続きを進めましょう。
任意整理は、どこに依頼しても大差はない?
いいえ。
全然違います。
実は、依頼する事務所によっては「メリットが少ない」というケースがあります。
戻ってくる金額や減額される額が違うわけです。
任意整理をするなら、実績(実力)がある事務所に依頼することが大切です。
ただ、心配なのが費用。評判の良い法律家の費用は高いのでは?
という心配があると思います。
確かに報酬額が高い事務所はあります。
しかし、中には評判の良い事務所でありながら、費用が安いという事務所もあります。
たとえば「はたの法務事務所」。
この事務所は、依頼者の貢献度が高い事務所として、司法書士会より表彰されたほどの事務所。費用も良心的。
評判も良いです。