任意売却とはなんでしょうか?
一般の売却と何が違うのでしょうか。
任意売却は、通常の一般売却とは、少々違います。
競売とも違います。
任意売却をするメリットはあるのでしょうか?
そこで、今回は任意売却のメリット・デメリット、任意売却以外の売却方法の違いについて、詳しく分かりやすく解説していきたいと思います。
任意売却とは?
任意売却とは、競売を避けるための売却方法です。
もっと詳しく説明すると、
住宅ローンの滞納時に物件を売っても住宅ローンが残ってしまう場合、
債権者(金融機関)の許可をもらい、競売を避けて抵当権が付いたまま物件を売る方法が任意売却です。
つまり、任意売却は、住宅ローンが払えない人を救済するために作られた制度でもあります。
競売とは、
債権者(金融機関)が支払いができない住宅ローンを回収するために、
強制的に物件を売却し、現金化するための売却方法です。
本来は、金融機関の住宅ローンの回収方法は競売が基本ですが、任意売却は競売の実行を止めることができます。
任意売却はこの競売を避け、抵当権を付けたまま売却することができる売却方法です。
任意売却をするための条件は?
誰でも任意売却ができる訳ではありません。
先ほど「任意売却はローンが払えない人のための救済制度」と言いましたので、任意売却には、それなりの条件が必要です。
- 住宅ローンを滞納している
- 住宅を売却しても残債がある
- 金融機関の承諾(許可)を得ている
- 連帯保証人などの同意を得ている
- 役所から差し押さえられていない
上記の5つの条件が揃わないと任意売却はできません。
任意売却すると競売が止まる?
任意売却をすると、競売の実行を止めることができます。
任意売却は、競売を阻止すためにある売却方法と言ってもいいでしょう。
通常、住宅ローンの滞納が3か月~6か月連続して続いた場合、
金融機関は住宅ローンを回収するため、裁判所を通し自宅を差し押さえて競売を実行します。
この時、滞納が続くようであれば、滞納から約10か月~12か月程で自動的に自宅は競売にかけられ、強制的に売却されます。
競売は法的強制力が強いので、決定した事には従わなければいけません。
競売になると立退きや引っ越しの期日などを選ぶことはできません。
費用に関しても全て持ち出しになります。
常に不動産の価格も変動しますので一概には言えませんが、
競売による売却額は、市場価格の約7割と言われています。
任意売却による回収できるお金は、ほぼ市場価格と変わらないことが多いようです。
場合によっては好条件で売却することも可能ですから、競売より高く取引ができるわけですね。
すると、金融機関側も回収金額が増えます。
また、住宅ローンの残りも大きく減らすことが期待できます。
任意売却をすると、以上ような強制的で、相場よりも安く売却される競売の実行を止めることができます。
任意売却をして残ったローンはどうなる?
任意売却をしても残ってしまった住宅ローンは、どうなってしまうのでしょうか?
任意売却で得たお金を住宅ローンに充てても残ってしまった住宅ローンは、
金融機関が無理のない範囲で分割払いにして返済できるように見直してくれます。
任意売却をして残ってしまったローンを分割返済できるも任意売却の特徴です。
任意売却すればブラックリストに載る?
任意売却をすると、ブラックリストに載ってしまいます。
と言っても、任意売却がブラックリストの原因ではありません。
住宅ローンの「延滞」が原因です。
ブラックリストには、3回程度の遅延で「事故情報」として登録されると言われています。
つまり、任意売却をしてもしなくても住宅ローンを3回程度滞納すると信用情報機関へ「事故情報」として登録されてしまいます。
参考サイト:全日本任意売却支援協会より
ブラックリストに載ると、新たにクレジットカードが作れなかったリ、ローンが組めなかったリするので注意が必要です。
しかし、現実はブラックリストに載っている人が任意売却をする状態がほとんどです。
任意売却をするタイミングは?
任意売却をするタイミングはあるのでしょうか?
実は、任意売却にもタイミングとタイムリミットがありました。
任意売却をするタイミング
任意売却をするタイミグは「期限の利益の喪失」の通知が来た時です。
滞納が3~6か月続くと金融機関から「期限の利益の喪失」の通知が届きます。
期限の利益のとは、期日まで支払いを待ってもらう権利です。
期限の利益を喪失すると、債務者は分割払いができなくなり、すぐにお金を一括返済しなければなりません。
参考資料:法令サイト民法137条より
(参照:2022-08-08)
それでも滞納を続けると、物件を差し押さえられ競売にかけられてしまいます。
また、競売を避けるためにも、「期限の利益の喪失」の通知が来たら金融機関に相談しましょう。
任意売却のタイムリミット
任意売却のタイムリミットは「競売の開札日」の前日です。
開札の前日までに任意売却で買主が決定していて、代金の支払いが済んでいることが条件です。
多くの金融機関が、開札の前日までを任意売却の期限と設定います。
滞納から3か月~6か月程で「期限の利益の喪失」の通達が来ます。
この時点で、更に滞納が続くと、滞納から10か月~12か月程で競売の入札が始まります。
競売の入札が開始までの流れ
- 1か月~2か月 銀行から「支払い請求書」が届く
・この時点で支払いができれば何も問題はない - 3ヶ月 銀行から「期限の利益喪失予告書」が届く
・この頃までに支払いを済ませればブラックリストは免れる - 3か月~6か月 銀行から「期限の利益喪失通知」が届く
・分割払いの権利を失い、一括請求される
・ブラックリストに載る - 4か月~7か月 銀行から「代位弁済通知」が届く
・保証会社が代位弁済をするため、債権者が銀行から保証会社に変わる - 6か月~10か月 裁判所から「競売開始決定通知書」が届く
・事実上の差し押さえ
・任意売却はまだ可能 - 10か月~12か月 裁判所から「期間入札の通知」が届く
・競売に関する、入札開始、入札終了、落札者の決定、などの期間が表示
・開札期日の前日まで任意売却は可能
競売のタイムリミットまとめ
入札日は必ず確認しておきましょう。
競売の入札日などの情報は通知で知ることができます。
もし、競売で買主が決まり、物件の代金が支払われていたら任意売却はできなくなってしまいます。
任意売却中でも競売手続きが制限されることはありません。
つまり、任意売却と競売手続きは同時進行していきます。
なので、常に競売手続きの進行を確認し、早めに任意売却の手続を進めていきましょう。
できれば、早めの開札日の前々日ぐらいまでに代金決済を行い競売の取下げをしてください。
上記のことから、任意売却の期限がそんなに長くないことが分かると思います。
よって、任意売却のタイムリミットは競売の開札日の前日と言うことです。
どうすれば任意売却できる?
では、実際に任意売却をするには、どうすればいいのでしょうか?
簡単な流れを紹介します。
1.任意売却の専門家に相談
任意売却をするためには、まずは不動産業者に相談をします。
相談する不動産会社は、一般の不動産会社ではなく、任意売却を専門とする信頼できる会社を選ぶことが肝心です。
任意売却をするには専門家の知識も必要なので、
任意売却専門業者を選ぶことはとても大事なことです。
任意売却専門業者の相談料は有料の業者もありますが、相談料が無料の業者が良いですね。
無料相談の時点で、任意売却の大まかな流れを教えてもらえますので安心できます。
2.金融機関の了承を得る
そして、もう一つ大事なことは、金融機関の了承を得てないと「任意売却」で家を売却することができないと言うことです。
任意売却をするには、金融機関に「任意売却」の了承を得ることが必須条件です。
金融機関に任意売却の了承を得るためには、「任意売却」を含め金融機関で住宅ローンの返済計画を組み直しの相談をする必要があります。
この時、任意売却専門業者には事前に自宅の査定もしてもらえますので、大まかな自宅の金額を出してもらってから金融機関に相談に行くといいでしょう。
金融機関と住宅ローンの返済計画の見直しをして、返済が維持できそうなら自宅を手放さずに済みますので、任意売却に至ることはありません。
しかし、返済が難しい上に残りのローンが多い場合、任意売却が得策だと認められて初めて金融機関に任意売却の了承を得ることができますので、それから任意売却の準備を進めるといいでしょう。
3.売却に必要な費用を算出し、債権者に費用を許可してもらう
金融機関から任意売却の了承を得たら、改めて売却に必要な費用や税金などを任意売却専門業者に計算して出してもらいます。
この時の算出された費用を債権者(金融機関)に認められれば、
自宅を売却したお金の中から引越し代や仲介手数料などの費用が支払えます。
もし、認められなければどうなるのでしょうか?
その場合は、自腹で引越し代や仲介手数料などの費用を支払う必要があります。
自腹を切ることなく引越し代や仲介手数料などの費用を支払うためには、
債権者(金融機関)がどれぐらいの金額までなら許可をするのかなどの情報を知っておかなければいけません。
この点、任意売却専門業者にお任せすると安心です。
任意売却を始める
自宅の売却価格を決める場合は、金融機関の了解が必要です。
そして、金融機関と任意売却専門業者と相談しながら売却価格を決定していきます。
金融機関との確認
基本的に抵当権が付いたままでは売却することができません。
本来であれば、住宅ローンを完済してから債権者に抵当権を抹消してもらうことが通常の形です。
しかし、金融機関と相談して住宅ローンが残ったままでも抵当権を抹消してもらえるように承諾を得る必要があります。
そして、もう一つ確認しなければいけないことがあります。
任意売却の売却した代金では住宅ローンが完済ができなかった場合、残った残債をどうするかと言う問題です。
多くの金融機関では、残った残債を無理のない範囲で分割払いにすることが多いようです。
上記のことは、事前の相談でしっかり確認をすることが大事です。
任意売却を成功させるコツ
実は、任意売却を成功させるコツがあります。
それは、良い任意売却専門行者を選ぶこと!
そう、選ぶ任意売却専門業者が大事です。
任意売却の実績がある業者なら、任意売却の色々なノウハウを知っています。
そのため、債権者(金融機関)とどう接すればいいのか、どのタイミングでどう行動すればいいのかなど、丁寧に教えてくれます。
住宅ローンの滞納が2か月程度続いた頃に届く金融機関からの「督促状」又は、滞納が3か月程度で届く「期限の利益喪失予告」がきたら、迷わず任意売却専門業者に相談をするといいでしょう。
交渉もすべてやってくれる!おすすめの任意売却専門業者はこちら
任意売却のメリット
任意売却のメリットは以下の通りです。
- 競売の実行を止める
- 市場価格と同程度の価格で売却
- ある程度の希望する条件が通り易い
- 売却金額から諸経費が捻出できる
- 残ったローンが分割返済できる
- 周囲に事情がバレにくい
- リースバックと併用ができる
競売の実行を止める
競売は強制的に物件を売却するため、引っ越しや立退きの予定が組みにくいことが挙げられます。
何も対策をしていないと強制的に競売になってしまいます。
任意売却をすることで競売の実行を止めることができます。
市場価格と同程度の価格で売却
競売の売却価格は、市場価格の約7割と言われています。
それに比べて任意売却は、ほぼ市場価格に近い売却額が期待できます。
大きな金額が動く不動産は、1割~2割違っただけでも返済額に大きく影響します。
売却価格の比較だけでも任意売却を選択すると、結果住宅ローンの残債に大きな差が出ます。
ある程度の希望する条件が通りやすい
任意売却は、金融機関と買主との話し合いで比較的希望する条件が通ります。
金額や債権者の数、住宅ローンを延滞した後の姿勢などにもよりますが、立退き、引っ越しなどの予定が立てやすいことは、大きなメリットと言えます。
売却金額から諸経費が捻出できる
交渉次第では引っ越し費用などの諸経費を売却で回収したお金から捻出することも可能です。
任意売却は、協議により条件を決めることができるので希望条件が認められやすいでしょう。
残ったローンが分割返済できる
任意売却後に残った住宅ローンの残金については、分割払いで返済ができるのが任意売却の大きなメリットです。
周囲に事情がバレにくい
任意売却は、売却方法の違いだけで一般の住宅売却をほぼ変わりません。
競売のように全国から買い手の募集をかけたり、インターネットで外観、内観、住所など公表されたりはしません。
周囲の目を気にすることなく、一般売却のように売りに出されるので、周囲に事情を知られる恐れもないでしょう。
リースバックと併用ができる
任意売却をする場合、リースバックと併用することで、今の自宅にそのまま住み続けることも可能です。
リースバックとは、一度今の自宅を売却して、そのまま賃貸として住み続けるシステムです。
家族や親戚などに買い取ってもらうケースが多いそうです。
しかし、親・兄弟・子供など親族の場合でもしっかりと賃貸契約を結ぶ必要があります。
任意売却のデメリット
任意売却のデメリットも以下にまとめてみました。
- 信用情報に傷がつく
- 金融機関や保証人の合意や同意が必要
- 保証人になってくれた人に迷惑をかける
- 売却金額が手元にのこらない
- 期間内に売り切れないと競売になる
- 悪徳不動産会社に注意が必要
信用情報に傷がつく
信用情報とは、認定信用情報機関が情報を扱っている、クレジットカードやローンなどの申込みに関する個人情報を言います。
住宅ローンを3か月以上滞納すると、この個人情報に「延滞情報」が登録され、いわゆるブラックリストに載ってしまいます。
ブラックリストに載ってしまうと、クレジットカードやローンなどに関するリスクがあるので注意が必要です。
金融機関や保証人の合意や同意が必要
任意売却をする上で、住宅ローンがある金融機関の同意(許可)が必要です。
もし、保証人がいる場合には、保証人などの関係者の同意も必要になります。
この同意が無ければ、任意売却はできません。
保証人に迷惑をかける
任意売却をすると、連帯保証人に迷惑がかかります。
住宅ローンが支払えない場合は、全てのローンの請求が保証人に移るからです。
住宅ローンを払えなくなった場合、保証人が代わりに返済する義務がありますので、保証人にとは、任意売却をする際にしっかり話し合いをするようにしましょう。
売却代金はローン返済に充てられる
任意売却をしても、売却代金は支払えなかった住宅ローンの返済に充てられます。
つまり、手元には売却代金は残りません。
でも、任意売却では、引越し代や不動産会社の手数料などの諸経費を交渉次第で条件に組み込んでもらえることもあります。
期間内に売り切れないと競売になる
任意売却には期限があり、いつまでも売却期間がある訳ではありません。
そのため、期限内に物件が売れない場合は自動的に競売に出されてしまいます。
あまりにも高額に設定すると、売れ残ってしまう場合があるため注意が必要です。
個人差はありますが、滞納が始まってから約10か月~12か月で競売の入札が開始されます。
悪徳不動産会社に注意が必要
実は、任意売却の悪徳不動産会社がはびこっています。
任意売却をするときに不動産会社選びを慎重にしないと、この詐欺会社に騙されてしまうので充分注意が必要です。
任意売却に期限があるので焦る気持ちもありますが、必ず信頼できる業者に相談をするなど慎重に選ぶことが大切です。
任意売却と競売の違い
競売とは、
債権者(金融機関)が支払いができない住宅ローンを回収するために
強制的に物件を売却し、現金化するための売却方法です。
住宅ローンは3か月~6か月支払いを滞納すると、住宅ローンを貸している金融機関が滞納分のお金を回収するために、その物件を競売にかけて売りに出します。
しかし、競売は市場価格の半額ほどで取引されることもあります。
一方で任意売却なら市場価格に近い値段で取引されることから、任意売却を選択する方が住宅ローンの返済に回せるお金が多くなる可能性があります。
滞納をしているのに何もせずにいると、
強制的に競売にかけられます。
その前に金融機関に相談をすることで、任意売却を金融機関に許可してもらえる可能性が高まります。
許可が出れば、任意売却ができます。
また、任意売却は、交渉次第では引っ越し費用などの諸経費を売却で回収したお金から出してもらうことも可能です。
競売では、売却して回収されたお金の全てが金融機関の返済に充てらるため、引越し費用などの諸経費は持ち出しになり、お金の無い方には厳しい条件です。
競売での売却期間は、住宅ローンの滞納が始まってから最終的に競売で落札されるまで、1年半近くかかることも珍しくありません。
それに対し、任意売却の売却期間は金融機関が決めることが多く、売却期間に一定の決まりがありません。
あくまでも目安ですが、任意売却の売却期間は通常3か月~6年ぐらいと言われています。
基本的には短期間での売却活動が主流です。
また、任意売却で自宅が売却されなかった場合、自動的に競売に移ります。
任意売却と一般売却の違い
一般売却の場合の目的は、自分のために不動産を売却することです。
なので、期限もありませんし自由に売却できますが、当然不動産会社に支払う仲介手数料が発生します。
一方、任意売却の場合の目的は、金融機関が住宅ローンの回収をするために売却することです。
任意整理には売却期限があります。
その期間は短期間のため「売り急ぎ」の状態となり、売却価格は市場価格に近いものの、多少安くなる傾向があります。
しかし、金融機関と買主と協議によるの売却なので、不動産会社に支払う仲介手数料は、物件を売却したお金から支払われますので、実質持ち出しはありません。
任意売却のまとめ
任意売却のまとめです。
任意売却とは
住宅ローン滞納時に、抵当権の付いた物件を競売(法的方法)をせずに売却し、その売却して得たお金で住宅ローンを一括返済する方法です。
抵当権が解除されていない物件は、売却することができませんが、
任意売却は、金融機関に許可をもらえれば抵当権が付いたまま物件を売却をするとができます。
任意売却をしても残ってしまった住宅ローンは、金融機関と相談の上、
再度無理のない範囲でローンを組み直してもらうことも可能です。
そして、競売を回避するための売却方法が任意売却です。