債務整理は2回目はできるのでしょうか?
その方法、その時の注意点とはなんでしょうか?
こちらの記事では、2回目の債務整理の注意点について分かりやすく説明しています。
では、参りましょう。
債務整理は2回目まで可能?
債務整理は何回まですることができるのでしょうか。
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
実は、債務整理は回数制限がありません。
つまり、2回目の債務整理もできます!
債務整理とは、借金返済の方法です。
正確には4種類(任意整理・自己破産・個人再生・特定調停)の手続きの総称です。
手続きの種類によって注意すべき点があります。
では、種類毎に確認をして行きましょう。
任意整理
任意整理は、債務者と債権者との間で話し合いによって借金を減額または、猶予をしてもらい、借金を返済する手続きです。
直接債権者と交渉するので、債権者の同意さえ得られれば、原則、何回でも債務整理が可能です。
ただし、「債権者の同意が得られれば」という条件付きということを忘れてはいけません。
あくまでも任意整理は、相手との話し合いの結果なので、
2回目の任意整理となると応じてくれない可能性もあります。
自己破産
自己破産も、法律上の回数制限は設けられていません。
ただし、過去、自己破産により借金を免除されたことがある人は、
その免責決定日から7年間は自己破産できないと言う法律があります。
参考資サイト:破産法252条1項より
上記のように、自己破産では期間による制限がかけられることがありますが、
2回目は自己破産ができないなどの回数制限はありません。
個人再生
個人再生も自己破産同様、法律上の回数制限は設けられていません。
1回目の個人再生が「小規模個人再生」だった場合、
2回目以降の個人再生では、1回目の手続きの影響もなく回数の制限もありません。
しかし
1回目の個人再生が「給与所得者等再生」だった場合、
1回目の「給与所得者等再生」の再生計画認可決定確定日から7年以上経過していないと同じ「給与所得者等再生」の利用はできません。
自己破産と同じ様に、個人再生でも期間による制限がかけられることがありますが、回数制限はなく、原則、何回でも債務整理ができると言うことです。
特定調停
特定調停も法律上の回数制限は設けられていません。
特定調停は、債務者と債権者との間で簡易裁判所が仲介に入り、話し合いによって借金を減額または、猶予をしてもらい、借金を返済する手続きです。
特定調停も任意整理同様に、初めての債権者の特定調停は通常通りできますが、
2度目以降も同じ債権者に特定調停する場合はハードルが高くなると考えておきましょう。
2回目以降の債務整理の注意点は?
法律上では債務整理に回数制限が設けられていません。
つまり、原則、何度でも債務整理をすることができます。
ただし、無条件で債務整理を繰り返すことができるわけではありません。
では、2回目以降の債務整理では、どこに注意をしたらいいのでしょうか?
次に挙げる項目は、2回目以降に注意するべき事柄です。
- 債権者の条件が厳しくなる
- 手続きに時間がかかる場合がある
- 前回と同じ債権者は取引に応じてくれない
- 自己破産の場合は管財事件の可能性がある
この4つの点について詳しく解説します。
1.債権者の条件が厳しくなる
1回目と同じ債権者の債務整理の場合は、条件が厳しくなるでしょう。
任意整理なら、話し合いでの条件が不利な場合もあります。
自己破産や個人再生の場合は、裁判所の判断次第になりますので、裁判所が認めてくれればその決定に従うことになります。
2.手続きに時間がかかる場合がある
任意整理の場合は、話し合い(交渉)によって時間がかかるかも知れません。
自己破産や個人再生の場合は、前回以上に調査をするため時間がかかるでしょう。
3. 1回目と同じ債権者は取引に応じてくれない
1回目の債務整理が完済していたとしても、同じ債権者の会社内で「社内ブラック」に載っているため、2回目の取引はできないと考えておきましょう。
4.自己破産の場合は管財事件の可能性がある
自己破産は、裁判所の対応次第では2回目以降の自己破産は管財事件になる可能性がとても高くなります。
免責不許可事由などに問題がない場合でも管財事件の可能性が高いと考えておきましょう。
債務整理のパターン別、2回目の手続き
債務整理には、1回目の手続きと2回目以降の手続きによっていくつかのパターンがあります。
そのため、法律の専門家に判断をしてもらわないと一般の方ではどのような流れになるのか判断が難しいです。
専門家に相談する場合は、
債務整理の実績豊富な弁護士か司法書士に相談することをおすすめします。
そこで、パターン別に紹介しますので見てみましょう。
1回目を完済した、2回目の任意整理
過去に1度任意整理をして、
その任意整理を完済した後に再び違う理由で債務整理をした場合、
新たなに借り入れをした債権者なら、初回目の任意整理と同じです。
この場合は、過去の過払い金があれば差し引いてもらい、合せて将来的な利息のカットなど大幅な減額が予想できます。
1回目が完済できず、2回目任意整理
1回目の任意整理が完済しきれずに、
そのまま2回目の任意整理をした場合は、
既に過払い金はありませんので借金の減額は見込めません。
それでも交渉次第で将来的な利息のカット、支払い期限の延長などは可能です。
しかし、同じ債権者なら2度目の任意整理の交渉はかなり厳しいのは確かですし、第一、交渉に応じてくれるかも分かりません。
場合によっては、相当無理な条件を言い渡されることも覚悟しなければいけません。
そんな時は、個人再生や自己破産に切り替えるなど、弁護士・司法書士に相談をした方が良さそうです。
相談する場合は、債務整理の実績豊富な弁護士や司法書士に相談しましょう。
1回目を完済した、2回目の個人再生
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用せずに完済している場合、2回目の個人再生はできます。
住宅ローン特則を利用しての完済は、住宅ローンが終了しているので、問題無く個人再生ができます。
1回目が完済できず、2回目の個人再生
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用しての個人再生で、
途中で支払いができなくなりそのまま2回目の個人再生をする場合は、条件が一層厳しくなります。
住宅ローン以外の借金が完済していても、
住宅ローンの部分の返済が完済していなければ再生計画が失敗している状態です。
せっかく圧縮された住宅ローン以外の借金は、完済していても減額前の借金に戻されてしまいます。
元に戻された借金と再度住宅ローンを利用すれば、2回目の個人再生の手続きは可能です。
つまり、住宅ローンの返済が続けられるのであれば、2回目の個人再生もできますが、住宅ローンの返済が無理なようなら、自己破産をした方がいいと考えられます。
個人再生の手続きの変更は、債務整理の手続きの知識とタイミングが合わないと上手くできませんので、
債務整理の実績豊富な弁護士や司法書士に相談をした方がいいでしょう。
また、個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類の手続きがあります。
給与所得者等再生をした場合、7年以内は同じ給与所得者等再生を行うことはできません。
1回目の個人再生が上記どちらの個人再生でも、2回目以降の小規模個人再生なら、
個人再生ができます。
1回目を完済した、2回目の自己破産
2回目の自己破産の条件は、1回目の自己破産から7年以上が経過していることです。
7年以内の自己破産の申し立てでは、免責を認めないと法律(破産法)で決められているため、裁判所は免責を認めません。
そして、2回目以降の自己破産は、1回目の自己破産より厳しい判断基準になっています。
2回目の債務整理が上手に進めるコツ
2回目の債務整理を上手に進めるコツってどのようなコツでしょう?
状況の変化を訴える
1回目に債務整理をして「これで借金が返せる!」
と思っても、100人が100人共に上手く返済できるとは限りません。
中には、自分の意思・意図とは関係なく、借金返済ができなくなってしまう人もおられるでしょう。
そんな時は、依頼をする弁護士・司法書士やお金を貸してくれた債権者、裁判になれば裁判官に、しっかり今の状況を訴えなければいけません。
理由が納得のいくものであれば、2回目の債務整理もスムーズに進めることができるかも知れません。
生活がしっかり改善さたことを強調
やはり、2回目の債務整理となると、債権者はすんなり債務整理に応じてくれないでしょう。
しかし、生活も以前のままで全く反省の色も見せず無駄なお金の使い方をして返済できないのと、
生活がしっかり改善されているにも関わらず、不測の事態で借金が返済できないのとでは心象が全く違います。
その時は、就職をして収入を増やした、家賃の安い場所に越したなど、具体的に改善していることをアピールすると、より心象が良くなり話し合い(交渉)が進めやすくなります。
債務整理に強い弁護士・司法書士に相談
債務整理に強い弁護士・司法書士に依頼をすることです。
例えば、任意整理をするつもりで弁護士・司法書士に相談をしたら、
任意整理では難しい案件なので、自己破産の方が自分には向いていたなんて場合もあります。
逆に、自己破産をするつもが、任意整理の方が良い場合なども債務整理の実績豊富な弁護士や司法書士なら的確に判断してくれます。
逆に、実績が少ない事務所や債務整理に力を入れていない事務所に相談した場合、
解決に時間を要したり、金銭的に損する場合があるので注意しましょう。
債務整理の2回目その方法と注意点のまとめ
債務整理の2回目のまとめです。
債務整理は、原則、回数に制限はありません。
ただ、債務整理の手続きによっては、
自己破産・個人再生など、1回目の債務整理の裁判所の決定日から7年間は裁判で免責・認可は認められない決まり(破産法)があるなど、制限のある場合があります。
2回目の債務整理は、1回目の債務整理より条件や基準などが厳しくなっています。
一般の方には分からない、複雑な知識が必要になるでしょう。
2回目の債務整理は、しないに越したことはありませんが、どうしても債務整理が必要と思ったら、早め早めに専門家に相談をすることが、とても大事です。