自己破産になった場合の手続きとして、管財事件と同時廃止があります。
一定の財産(管財)がある場合は「管財事件」。
処分できる財産が無い場合は「同時廃止」。
すこし、むずかしい専門用語ですね。
管財事件とは、どんな事件を言うのでしょうか?
また、管財事件と同時廃止の違いは何でしょうか?
では、そんな疑問に 分かりやすくお答えしたいと思います。
管財事件とは?
管財事件とは、自己破産手続きの中の一つです。
破産手続きには、「管財事件」と「同時廃止」の2種類の手続きがあります。
必ずどちらかの手続きとる必要があります。
管財事件となるか同時廃止となるかは、破産を申立てた後に裁判所が決めますので、自分で選ぶことはできません。
管財事件になるケースとは?
次のようなケースが管財事件になります。
1.申立て人に、一定以上のお金に換えられる価値のある財産がある場合
2.裁判所が破産管財人による調査が必要と判断をした場合
管財事件とは、
申立て人が持っている財産を全て処分してお金に換え、
借金をしている人に分配することで、
借金を全て免除してもらう手続きです。
しかし、裁判所の判断で、申請していない財産があるか調査が必要、もしくは、借金を免除してもいいのか、破産管財人を選んで調査をする必要があると判断した場合は、処分する財産が無くても管財事件になることもあります。
管財事件では、裁判所から破産管財人と言う、申立て人の財産の管理や申立て人を調査する弁護士が選ばれてます。
この弁護士は、裁判所に破産管財人登録をした、裁判所がある地域に 所在している弁護士です。
中立な立場を守るために、外部の弁護士を裁判所が選んで決めます。
申立て人が選ぶことはできません。
この破産管財人は、主に申立て人の財産を 調査・換金・債権者への分配などをするために、財産をまとめて管理する人です。
申立て人がなるべくスムーズに破産手続きを進められるように、申立て人の財産を 調査・換金・債権者への分配などのサポートをしてくれるのが破産管財人の役目です。
この時 裁判所から破産管財人が選任されることから、「管財事件」と呼ばれるようです。
同時廃止になるケースとは?
同時廃止とは、自己破産の手続きの中の一つです。
同時廃止になるポイントは2つあります。
- 破産手続きが始まった時点で、申立て人にお金に換えられる価値のある財産が 一切無い場合
- 申立て人に「免責不可事由」が無い場合
(借金の原因がギャンブル・過大な浪費などの理由ではなく、免責を認めても問題無いと裁判所が判断をした場合のこと)
この2つのポイントがある場合は、同時廃止として手続きが進められます。
同時廃止は、処分する財産がありませんので破産管財人は選ばれずに省略されます。
この時、破産手続き開始と同時に手続き終了(廃止)になるため、「同時廃止」と呼ばれるようです。
管財事件と同時廃止の3つの違い
管財事件と同時廃止の違いは、大きく分けて3つあります。
- 破産管財人の有無
- 手続きの期間
- 費用
破産管財人の有無
【管財事件】
一定の財産がある場合、破産管財人が選ばれ申立て人の財産を管理することが必要です。
これを管財事件と言います。
【同時廃止】
一方 同時廃止は、申立て人に一切財産が無いため、申立て人の財産を管理をする必要がありません。
よって、破産管財人は選ばれません。
このように、管財事件と同時廃止では、破産管財人の必要性があるか、無いかということが違います。
手続きの期間
【管財事件】
管財事件では、申立て人の財産の 調査・換金・債権者への分配など、最短で3か月、通常は6か月前後の期間が必要と言われています。
また、予納金や提出書類の準備を含めると約1年くらいかかることもあるようです。
【同時廃止】
同時廃止は、破産手続き開始と同時に終了するため、管財事件より短い期間で手続きが終了します。
破産手続き開始と同時に終了するということは、破産管財人による申立て人の財産の調査や財産の換金、換金したお金の分配など、これら全ての業務が省略されます。
破産手続きの完了まで、早ければ 最短2か月、通常3か月前後と言われています。
上記のように、管財事件の場合、申立て人の財産の調査期間、換金に要する期間、換金したお金の分配にかかる期間、これらの期間が同時廃止より長くかかることが違います。
費用
管財事件と同時廃止では、予納金が違います。
予納金とは、自己破産をする時に、裁判所に支払う手数料のことを言います。
予納金にはいくつか種類があります。
申立て手数料・官報公告費・郵便切手代・引継ぎ予納金です。
また 予納金は、各裁判所によって違いますので、申立てをする裁判所に確認をするといいでしょう。
管財事件では、引継ぎ予納金があります。
引継ぎ予納金とは、破産管財人に払う費用です。
主に破産管財人の報酬に充てられます。
一方、同時廃止は、引継ぎ予納金がありません。
破産管財人の選任がないためです。
予納金は、引継ぎ予納金の有無でかなりの違いがあります。
管財事件の場合の予納金 約50万円
少額管財の場合の予納金 約20万円
おおよその金額です。
予納金について詳しい情報は、予納金とは?のページで詳しく解説していますので、参考にされると良いでしょう。
管財事件と同時廃止の違いのまとめ
管財事件は、自己破産の手続きの一つです。
管財事件・同時廃止は、以下のような基準で、取り扱いが変わってきます。
- 一定の財産(管財)が有る場合は、管財事件
- 一切の財産(管財)が無い場合は、同時廃止
しかし、一切の財産が無い場合でも、破産管財人の調査が必要と裁判所が判断した場合、管財事件になる場合があります。
管財事件か 同時廃止かの違い
- 破産管財人の有無
- 手続きの期間
- 予納金の金額
管財事件の場合と 同時廃止の場合では、引継ぎ予納金があるか 無いかで大きく費用が違ってきます。