破産管財人とはなんでしょうか?
破産管財人とは、破産手続きの際に、選任される財産を管理する人のことを言います。
では、破産管財人は、具体的にどのような事をする人なのでしょうか?
むずかしい専門用語が並びますね。
そこで、できるだけ詳しく、分かりやすく説明していきたいと思います。
破産管財人とは
破産管財人とは、破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。
出典:e-gov法令検索 破産法2条12号より
(2022-5-18)
つまり、破産管財人とは、財産をお金を貸した人に、公平に分配をする人です。
自己破産(破産手続き)をする際に、
一定の価値のある財産(管財)がある場合「管財事件」になり、裁判所は破産管財人を選任します。
破産管財人は、申立て人の財産価値を調査してお金に換えます。
しかし、同時廃止の場合は、申立て人に処分する財産が無いので、破産管財人は選任されません。
管財事件か同時廃止かいつわかる?
気になりますよね。
管財事件か 同時廃止かは裁判所が決定します。
管財事件か 同時廃止かは、申立て・裁判官と面談をした後に、裁判所からの通知によって知ることができます。
自己破産をする人が管財事件か 同時廃止かを決めることはできないということを覚えておきましょう。
破産管財人をつけるために必要なお金はいくら?
破産管財人をつけるための費用が気になりますよね。
この費用はいくらするのでしょうか?
この費用は引継ぎ予納金と呼ばており、約20万円~50万円ほどの費用が必要になります。
予納金について更に詳しく知りたい方は、予納金とは?で詳しく解説していますのでご覧ください。
破産管財人は、誰が選ぶ?
自己破産をする人が破産管財人を選ぶことはできません。
では誰が選ぶのでしょうか?
それは、裁判所です。
管財事件の場合は、裁判所によって破産管財人が選任されます。
破産管財人は、公平に案件を扱うため裁判所がある地域の破産管財人登録をした弁護士を選任します。
つまり、管財事件の際、申立て人の財産の 調査・換金・処分などの業務を、破産管財人登録をした弁護士に外注する感じです。
また、裁判所が 管財人による調査が必要と判断した場合も破産管財人を選任します。
この場合、申立て人に換金できる財産が一切ない場合でも裁判所が調査が必要と判断すると、管財事件になり破産管財人が選任されることがあります。
破産管財人の業務内容
破産管財人の主な業務内容は以下の内容です。
- 申立て人の債務金額の確定
- 申立て人の財産(管財)の調査・換金
- 申立て人の破産原因の調査
- 債権者集会の報告
- 管財の分配
破産管財人の業務内容は、主に5つの業務になります。
非常に業務内容が多いと思います。
一つ一つ見てみましょう。
申立て人の債務の金額の確定
まず、一番初めに調査をする項目は、借りている業者や個人の金額の有無、滞納状況や不正な行為、借金の一部返済などを調べます。
- 貸金業者の社名と数
また、それぞれの借金の金額 - 個人間での借金の有無
その金額 - 家賃や光熱費の滞納の確認
- 財産隠し・一部返済の確認
財産を隠していないか、または、申立て前に一部の借金だけ返してないかなどの確認
以上のことを調査・確認をしてから確定をします。
申立て人の財産(管財)の調査・換金
破産管財人の最も重要な業務に、申立て人の財産の調査・換金業務があります。
破産管財人は、申立て人の財産を徹底的に調べます。
預金口座の取引履歴は、過去1~2年ほどさかのぼって調べたり、直接申立て人や関係者に聞き取り調査をしたりもします。
そして、全ての財産のお金を確定して、お金を貸した人への分配計画を立てます。
破産管財人の使命は、申立て人の財産を換金して、できるだけ多くのお金を貸した人にお金を分配することです。
また、破産続きが始まると、申立て人の財産は、2つの種類に分けられます。
- 破産財団…
破産管財人が管理・お金に換える処分を目的とした財産 - 自由財産…
破産財団に入らない財産
※生活に必要な最低限度の財産や、破産手続上換金処分ができない財産をいいます。
破産財団とは、何かの組織や団体ではなく、破産管財人の管理のもと換金処分できる資産や財産のことを言います。
自由財産については、換金処分の対象ではないため、破産管財人が処分してしまうことはありません。
ちなみに、東京地裁の場合では、33万円以下に現金、お金に換金しても20万円以下の財産は、自由財産に振り分けられるようです。
申立て人の破産原因の調査
破産管財人は、申立て人の破産に至った経緯や原因についても調査もします。
この調査は、いわゆる 免責調査です。
破産管財人の免責調査は、つぎの内容を重点的に調査します。
- 破産に至った理由
破産の理由が、免責を認めるにあたいするか
※破産に至った理由によっては免責が受けられない場合もあります。 - 申立て人の生活
生活はどのような様子か、また、どのような環境なのか
生活の様子から免責を認めるにあたいするか - 申立て人の態度
破産に至るうえで、反省をしているか
免責を認めるにあたいする態度をしめしているか
破産管財人は、以上のことをまとめて、裁判所に免責を認めるにふさわしいかを報告します。
債権者集会の報告
破産管財人の調査は、1回目の債権者集会までに完了し、債権者集会で調査結果を報告することになります。
破産管財人は、債権者集会で申立て人の財産・収支報告と免責についての意見申述を行います。
申立て人は、必ず出席をしなくてはいけませんが、個人の自己破産の場合、債権者の出席はあまり無いようです。
債権者集会は、通常5分程度で終了し、引き続き観察・調査・換金などがない限り、1回目の債権者集会で終了することがほとんどです。
管財の分配
債権者集会が終了すると、破産管財人は債権者へのお金を分配します。
この時、申立て人の財産があり、破産管財人の分配が終われば、破産手続きは「異時廃止」(途中で終了という意味)で終了します。
申立て人に分配できる財産がなかった場合、「破産手続終結」(これ以上の手続きができないので終了)という形で終了します。
破産管財人のまとめ
破産管財人とは、申立て人の財産(管財)を調査・管理・処分などをして、お金に換え債権者に、公平に分配をする人です。
破産管財人の主な業務内容
- 申立て人の債務の金額の確定
- 申立て人の財産(管財)の調査・換金
- 申立て人の破産原因の調査
- 債権者集会の報告
- 管財の分配
破産管財人の業務内容はとても多く、時間と労力が必要な業務です。
破産管財人の報酬になる「引継ぎ予納金」の費用は、通常管財事件で東京地裁の場合 原則 50万円です。
この費用の金額は、各裁判所によって多少の違いはありますが、高額な費用には変わりありません。
それでも、破産管財人は申立て人の見方です。
いかにスムーズに破産手続きを進めて、いかに早く手続きを完了させるかを優先して、申立て人のために業務にあたってくれています。