ここでは自己破産のデメリットを知ることができます。
自己破産をすると借金返済義務が完全になくなるので助かりますが、
自己破産にはいくつかのデメリットがあります。
このことを正しく理解しておかないと、自己破産することによって思わぬ不利益を受けてしまうおそれがあります。
そこで今回は、自己破産の8つのデメリットについて、先生に聞いてみましょう!
1.自己破産すると借金がなくなる!
(アシスタント)先生、こんにちは。今日は自己破産のデメリットについて教えてください。
(先生)こんにちは。自己破産とは、裁判所に申立をして借金返済義務をなくしてもらう手続のことですよ。
(アシスタント)自己破産すると、借金が0になるんですよね?
(先生)そうです。完全に支払がなくなるので借金問題を根本的に解決することができますよ。
(アシスタント)そんな大きな効果がある分、デメリットもありますよね?
(先生)はい。自己破産は他の債務整理方法と比べて比較的デメリットがたくさんあります。
(アシスタント)そうなんですね。
2.自己破産のデメリット
(アシスタント)それでは、具体的に自己破産のデメリットを教えてください。
(先生)わかりました。
2-1.ブラックリスト状態になる
(先生)自己破産だけではなくすべての債務整理手続について言えることですが、債務整理をするといわゆるブラックリスト状態になってしまいますよ。
(アシスタント)ブラックリスト状態とは、ローンやクレジットカードなどが利用できない状態のことですよね?
(先生)そうです。自己破産をすると、個人の借金についての信用情報である個人信用情報に事故情報というネガティブな情報が記録されてしまいます。
(アシスタント)個人信用情報は、CICなどの信用情報機関で保管されているのですよね?
(先生)そうです。弁護士などが受任通知を送った段階で、その個人信用情報に事故情報が記録されます。
(アシスタント)事故情報があると、ローンやクレジットカードが利用できないのですか?
(先生)はい。消費者金融などの貸金業者や銀行などの金融機関は、貸付の審査をする際に個人信用情報を参照します。だから、そのときに事故情報が記録されていると、融資の審査に通らなくなってしまうのです。
(アシスタント)なるほど、それは困りますね。そのようにローンやクレジットカードが利用できない状態のことをブラックリスト状態というのですか?
(先生)はい。そうです。ブラックリスト状態になると、住宅ローンや車のローン、教育ローンなどのいろいろなローンはすべて利用できなくなりますよ。
(アシスタント)クレジットカードも作れないのですよね?
(先生)はい、作れません。それに他者が借金する場合の連帯保証人にもなれませんよ。
(アシスタント)ということは、住宅ローンを組む場合などにも、自分は連帯保証人になれないということですね。
(先生)はい。それに子どもが奨学金を借りる場合にも連帯保証人になれません。
(アシスタント)いろいろと不便なことがありますね。ブラックリスト期間はどのくらい続くのですか?
(先生)それは、信用情報機関によって異なります。CICとJICCの場合には、手続き後5年間が事故情報の記録期間ですが、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の場合には、手続き後10年も事故情報が残ります。
(アシスタント)KSCは多くの銀行や信用金庫が加盟しているのですよね?
(先生)そうです。だから、自己破産するとその後10年くらいは銀行ローンを組むことが難しくなってしまいますよ。
(アシスタント)わかりました。
2-2.ほとんどの財産がなくなる
(アシスタント)自己破産をすると、財産が無くなるデメリットもありますよね?
(先生)はい、自己破産のデメリットとしては、これが一番有名ですね。
(アシスタント)具体的にはどのような財産がなくなるのですか?
(先生)たとえば債務者名義の預貯金や生命保険、自宅などの不動産、株式などの有価証券、貴金属、車など価値のあるものはすべてなくなります。
(アシスタント)それらは、現金に換えられて債権者に配当されてしまうんですよね?
(先生)はい。ただし、生活に最低限必要な財産だけは手元に残すことができますよ。
(アシスタント)具体的にはどのくらいですか?
(先生)たとえば預貯金などの個別の財産であれば、20万円以下の財産を手元に残せます。現金なら99万円まで手元に残せますよ。また、破産手続開始決定後に得た財産は自由財産として手元に残せるので、たとえば手続開始決定後に受け取った給料などは全部手元に残して使うことができます。
(アシスタント)それなら、自己破産してもたちまち生活に困るということはありませんね。
(先生)はい、そのような心配は要りません。
2-3.資格制限がある
(先生)自己破産をする場合、一部の職業に就けなくなる可能性があることにも注意が必要ですよ。
(アシスタント)それは、自己破産の資格制限の問題ですか?
(先生)そうです。
自己破産をすると、一部の職業に就けなくなったり資格を得られなくなります。
他人の財産管理を行うための成年後見人になる資格もなくなりますよ。
(アシスタント)たとえばどのような職業に就けなくなるんですか?
(先生)弁護士や税理士、司法書士や公認会計士などのいわゆる士業と呼ばれる職業には就けません。不動産の宅建業もできませんよ。
(アシスタント)あと、警備員や保険外交員にもなれなんですよね?
(先生)はい。だからこれらの仕事をしたいと思っている場合には注意が必要ですよ。
(アシスタント)自己破産で資格制限を受ける期間はどのくらいなのですか?
(先生)多くの場合、自己破産手続開始決定後、免責決定がおりて確定するときまでですよ。
(アシスタント)じゃあ、自己破産をしても、無事に免責がおりたら資格制限もなくなるのですね?
(先生)そういうことです。
自己破産にかかる期間は、同時廃止(財産がない人のための簡単な手続)の場合で3ヶ月くらい、管財事件(財産がある人のための複雑な手続)の場合でも6ヶ月~1年くらいなので、
その間だけ我慢すればまた好きな仕事をすることができますよ。
(アシスタント)わかりました。自己破産することによって公務員になれなくなったり、会社経営ができなくなることはないのですか?
(先生)ありません。
自己破産は公務員の欠格事由になっていませんし、会社役員の場合にはいったんは退任することになりますが、再任は自由なのでまた選任してもらえば取締役などの役員に戻って社長業もできます。
(アシスタント)わかりました。
2-4.借金の原因によっては免責されない
(アシスタント)自己破産する場合、借金の原因が問題になることがあるんですよね?
(先生)あります。
自己破産では免責決定によって借金をなくしてもらいますが、借金の原因によっては免責が認められなくなることがありますよ。
(アシスタント)それは、免責不許可事由の問題ですね。
(先生)そうです。
免責不許可事由というのは、その事情があると免責が受けられなくなるという事由のことです。
(アシスタント)借金の原因によっては免責不許可事由となって免責が受けられなくなるんですね。
(先生)そうです。
たとえば浪費やギャンブルが原因の借金が多い場合などには免責不許可事由があると判断されてしまいます。
(アシスタント)それは自己破産のデメリットですね。他の債務整理方法には免責不許可事由はないのですか?
(先生)ありません。個人再生や任意整理、特定調停などの他の債務整理方法の場合には、借金の理由にかかわらず手続ができます。
(アシスタント)免責不許可事由があると、絶対に免責を受けられないのですか?
(先生)実はそうでもありません。
自己破産には裁量免責という制度があり、裁判官は事件全体を見て免責を認めても良いと判断した場合には、裁量で免責を認めても良いことになっているからです。
(アシスタント)じゃあ、浪費やギャンブルが原因の借金があっても必ずしも自己破産を諦めなくていいのですね。
(先生)そういうことです。
2-5.保証人に迷惑をかける
(先生)借金する場合、連帯保証人などの保証人をつけていることがありますね。
この場合にも自己破産をするデメリットがありますよ。
(アシスタント)保証人がついている場合に自己破産すると、保証人に迷惑がかかるのですか?
(先生)そうです。
保証人とは、主債務者(借金した本人)が借金返済をしない場合に代わりに借金返済しないといけない人のことです。
主債務者が借金返済出来ない場合にそなえる担保の1種ですよ。
(アシスタント)そうなんですね。
それなら、主債務者が破産をして支払ができなくなったら、保証人は代わりに返済しなければなりませんね。
(先生)はい。
だから、主債務者が自己破産する場合には債権者は保証人に対して借金の請求をしてきますよ。
(アシスタント)それで、保証人がいる場合に自己破産をすると保証人に迷惑がかかるのですね。
(先生)そういうことです。
しかもその場合、保証人に対して借金残額の一括請求が来てしまうことが普通なので、保証人は大変な目に遭います。
(アシスタント)もし保証人も返済ができなかったら、保証人自身も自己破産などをしないといけませんね。
(先生)そうなります。
2-6.官報に掲載される
(先生)自己破産をすると、官報という政府の機関紙に名前や住所などの情報が掲載されてしまいますよ。
(アシスタント)官報と言うのは、一般的にあまりなじみがないですが、どのようなものですか?
(先生)官報とは、法律や条約などの制定、改正や締結などの情報や、破産などの情報が掲載されている政府が発行する機関誌のことです。
政府の発行する新聞のようなものだとイメージするといいですよ。
(アシスタント)そうなんですね。破産すると、自分の名前や住所、破産に関する情報などが官報に載るんですか?
(先生)そうです。そのことを官報公告と言います。
(アシスタント)官報公告されると、周囲に自己破産がバレますか?
(先生)それは通常ありません。
官報は、一般の人が見ていることはほとんどないので、官報に掲載されたからと言って家族や職場、近所の人などに自己破産がバレるおそれはありませんよ。
(アシスタント)それなら、自己破産しても官報に名前が載ることをさほど気に病む必要はなさそうですね。
(先生)それはそうですね。
2-7.手続が厳格で必要書類が多い
(先生)自己破産は裁判所を利用する手続なので、手続が厳格ですよ。
(アシスタント)法律に決められた手順できっちり手続をすすめないといけないのですね。
(先生)そうです。
裁判所からもいろいろな場面で指示がありますが、的確に応じる必要がありますよ。
(アシスタント)きちんと対応しないと手続がすすまなくなりますね。
(先生)そうなります。また、必要書類もとても多いです。
(アシスタント)弁護士に手続を依頼しても書類は債務者が自分で集めないといけないから、結構大変になるんですよね?
(先生)そうです。
このように、自己破産では手続が厳格で必要書類も多い点がデメリットです。
任意整理などと比べると、手続にかかる手間がかなり増えてしまいますよ。
(アシスタント)なるほど、わかりました。
2-8.専門家への依頼が必須で費用高い
(先生)自己破産をする場合には、裁判所を利用した複雑で専門的な手続なので、一般の債務者が自分で手続をすすめることは難しいですよ。
(アシスタント)じゃあ、弁護士などの専門家に依頼することが必要ですね。
(先生)そうなります。任意整理や特定調停なら自分で手続をすることも可能なので、それと比べると専門家の助けが必須になる自己破産にはデメリットがあります。
(アシスタント)弁護士などに依頼するとその分費用もかかりますね。
(先生)はい。弁護士費用は20万円~50万円程度かかります。
また自己破産は弁護士費用以外の、手続自体にかかる費用も高いですよ。
(アシスタント)そうなんですね。どのくらいかかるんですか?
(先生)裁判所への申立の際、印紙代が1500円、官報公告費用が1万円~2万円かかりますが、複雑な手続きである管財事件になると、さらにそれに足して20万円以上の予納金が必要になります。
(アシスタント)それらの費用が弁護士費用以外にもかかってくるということですね。
(先生)そうなります。だから、自己破産が管財事件になると、弁護士費用と裁判所の費用の合計で、50万円~70万円くらいの費用がかかってしまうことになります。
(アシスタント)それはすごい金額ですね。任意整理なら弁護士に依頼しても10万円~20万円で済むことが多いから、それと比べると自己破産にはデメリットがありますね。
(先生)そういうことです。
まとめ
今回は、自己破産のデメリットについて解説しました。
自己破産をすると借金返済義務が完全になくなるという大きな効果がありますが、その分デメリットも多いです。
持っている財産がなくなりますし、一定の職業についての資格制限も受けます。
借金の原因が問題になることがありますし、手続が非常に複雑になり、費用も高いです。
自己破産を利用する場合には、これらのデメリットも正しく理解した上で手続きする必要があります。
今回の記事を参考にして、自己破産によって思わぬ不利益を受けることのないように注意しながら、賢く借金問題を解決しましょう。
ヤミ金の場合はどこに相談すべき?
ヤミ金の場合は、はたの法律事務所ではなくヤミ金に得意な相談先に相談するようにしましょう。