自己破産をした場合の家族への影響は、あるのでしょうか?
自己破産をすると、家族に与える影響はあります。
しかし、それは精神的なストレスであって、
実質的な自己破産の影響は無いと言っていいでしょう。
家族が連帯保証人になっていなければ、自己破産による家族に影響はありません。
とは言っても心配点はありますよね。
では、自己破産の家族への影響を以下で詳しく考えていきましょう。
自己破産をした場合の家族への影響
自己破産をすると、本人以外の家族が受ける影響はあるのでしょうか?
もしかしたら、
自分が自己破産をしたことで、
配偶者や子供が代わりに借金を払う羽目になるのかも知れない…。
親に請求が行くかもしれない…。
などなど、とても心配ですよね。
でも、結論から申し上げます。
自己破産をしても、家族が保証人になっていなければ、
自分以外の家族に支払いの請求も来ませんし、また支払う義務もありません。
つまり、家族の影響はありません。
自己破産は、自己破産をした本人のみの借金が免除される制度です。
なので、自己破産をしたからと言って、家族がその借金を背負うことはありません。
自己破産をしても家族に影響はないので安心して自己破産はできます。
では、全く家族は影響を受けないのでしょうか?
正直、多少の影響はあると思います。
例えば、共同名義人などは影響があります。
と言っても、精神的な影響ですので、自己破産による影響は全く無いと言っていいでしょう。
自己破産をした場合の家族への精神的な影響
では、自己破産をした時に考えられる家族への精神的な影響はどの程度のもなのでしょうか?
そこで、精神的な影響も含め、自己破産をした時に考えられる家族への影響を説明していきたいと思います。
自己破産をした場合に家族に影響が出る可能性があることは、以下のようなことが考えられます。
- マイホームが処分される
- 保証人に一括請求がくる
- ローンが組めなくなる
- 子供の進学・就職・結婚が心配
では、実際に影響があるのか一つずつ見てみましょう。
マイホームが処分されると考えられる家族への影響
マイホームがある場合、その家の名義人が自己破産をすると差し押さえられてしまいます。
自己所有しているマイホームは手放さなければいけません。
自己破産は、財産の全てを失う代わりに、
抱えている借金を全て帳消しすることができる手続きです。
なので、マイホームを含む査定価格20万円以上の財産は、全て失うことになります。
他の財産にも思い出があったり、手放したくない物もあるかと思いますが、
住み慣れたマイホームを失う辛さは家族全員が感じる精神的な影響と言えるのではないでしょうか。
しかし、どんなに辛くても、自己破産の実質的な影響は、自己破産をした本人以外にありません。
なので、その点に関しては心配しなくてもいいようです。
夫婦共同名義の場合に考えられる家族への影響
また、注意したいのは、マイホームが夫婦の共同名義だった場合です。
マイホームが夫婦の共同名義だった場合、自己破産した本人の共有持分部分だけが自己破産の換価処分の対象になり没収されます。
この場合も、配偶者の共有持分部分に関しては対象外なので、没収されりしませんので心配しなくていいでしょう。
しかし、自己破産した本人の共有持分部分は、破産管財人によって処分されてしまします。
マイホームの処分の方法は、住宅ローンが完済済みなら破産管財人による「任意売却」になることが多いようです。
マイホームに「抵当権」がある場合は、抵当権のある金融機関が「競売」にかける方法が一般的です。
余談ですが…
競売をかけられると、住所と住宅の写真はしっかり公表されます。
(名前は公表されません)
すると、近所の人に不審に思われ、家族は根掘り葉掘り事情を聞かれることも…
根掘り葉掘り聞かれなくても自己破産のうわさが広まり、精神的苦痛を強いられた方もいたそうです。
これは、精神的に家族は苦痛だと思います。
でも、そうなる前に手を打つこともできますし、対処方法は実はいくらでもあります。
対処法は、債務整理の実績が豊富な事務所なら、
ほとんどの事務所が無料で相談に乗ってくれます。
このような無料相談を積極的に活用すると良いでしょう。
どちらにしても、買い手が付いた場合、家族はこの買い請け人と物件を共有することになりますので少々厄介です。
一緒に住む訳ではないのですが、共有する配偶者はさぞ不安だと思います。
買い請け人と物件を共有する場合、修繕をするにも買い請け人の許可が要りますし、売却するにも、共有者の買い請け人の合意が必要になるため、マイホームでありながら自分の思い通りにならなくなります。
買い請け人によっては、残りの共有持分部分の買取りを提案してくる場合も考えられます。
この場合一般的には一括払いで買取りをするようです。
そうすれば、自己破産をした本人の配偶者が家の全部の所有者になれますので、一安心ですが…
しかし、大きな金額ですのでなかなか難しいのが現実です。
このようなケースを回避するには、
事前に任意売却するなど、マイホームを手放してから自己破産をする方法もあります。
そうなれば、処分する財産が無いので「同時廃止事件」になりやすく、自己破産の費用自体も抑えることができます。
然るべき専門家の意見を参考にするのが、賢明な判断だと思います。
賃貸物件に住んでいる場合に考えられる家族への影響
賃貸物件の場合、家を追い出されてしまうのでしょうか?
特に家族とお住まいの方は気になる点ではないでしょうか。
そこで、自己破産手続き中に、家賃を滞納していた場合と、していない場合の違いについて説明しておきます。
家賃を滞納していなかった場合
家賃の滞納をしていなければ、今まで通り住み続けられるので心配は必要ないです。
現行の破産法では、
家主は借主の自己破産を理由に、賃貸契約の解約をしてはいけない決まりになっています。
そのため賃貸物件に住んでいる方は追い出されたりしません。
家賃を滞納していた場合
家賃を滞納していた場合は注意が必要です!
家賃を滞納している場合、自己破産をすると家賃の滞納した分も免除になります。
すると、家主は自己破産が理由の賃貸契約の解約ではなく、賃貸契約不履行を理由に立ち退きを迫る可能性が出てきます。
滞納した家賃が免責されて、なお住み続けられては、やはり家主も生活がかかっているので仕方ないかも知れません。
だからと言って、自己破産手続き中に滞納していた家賃を払ってしまうと、今度は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と言って、ある特定の債権者だけに返済をしたことになり、債権者平等の原則に反する行為に該当してしまいます。
すると、自己破産の「免責不許可事由」になってしまいますので、ここでも注意が必要です。
自己破産の手続きをする時は、知らないととても厄介な決まりもありますので、以上の点に注意して行動するといいでしょう。
家族が保証人の場合に考えられる影響
自己破産をする時に家族が保証人の場合も注意が必要です。
なぜなら、
債務者が自己破産を申立てると、債権者は保証人に全ての請求を一括請求してくるからです。
債権者は、自己破産をした本人の返済が無理なら保証人が耳を揃えて全額を返して欲しいと言ってきます。
保証人はその時のための保険ですからそうなるのは当然です。
この場合は、
保証人に全ての請求を支払うだけの財産・財力があれば別ですが、もしなければ保証人もそろって自己破産をせざるを得ないでしょう。
自己破産の免除ができる内容の中には、保証人の一括請求の免除「連帯保証債務」も含まれていますので、自己破産をした方が良い場合もあります。
配偶者が保証人になっていて、夫婦そろって自己破産をするケースは実際にあります。
配偶者だけでなく、親や子供、親戚などの場合も、配偶者同様に自己破産をするケースがあるそうです。
自己破産を考える時、家族が保証人になっている場合は特に、事前によく話し合っておかないといけませんね。
自己破産の影響でローンが組めなくなる
自己破産で免責が認められると、
これまでの全ての借金の返済義務が免除されます。
今までの返済途中のローンも、クレジット払いの借金も全て免除されるのです。
しかし…
自己破産をすると、信用情報に事故情報として登録され、約7年~10年間はクレジットカードは住宅ローン・自動車ローン・教育ローンなど、新たに借入契約はできません。
(デビットカードの場合は、新たな発行も利用も可能です)
自己破産をした本人名義の家族カードもその対象になるため、もし家族カードがあれば利用はできなくなりますので、注意が必要です。
もっとも、破産者以外の家族の名義なら何も問題はありませんので、今まで通り使用できます。
ネットショッピングでクレジットカードで支払いたい場合は、デビットカードを使うようにしましょう。
デビットカードならば、自己破産後に発行することもできます。
子供に与える自己破産の影響
自己破産をすると、子供に影響が及ぶのではないか、それが一番心配なことだと思います。
結論からお伝えします。
自己破産をしても、影響を受けるのは自己破産をした本人だけで、家族には一切の影響はありません。
安心していいと思います。
子供が学生の場合
まだ、子供が学生だったとしても、学校に親の自己破産を申告しなくても構いません。
子供には何も影響はありませんから、そもそも学校に知らせる必要が無いんです。
子供が進学する際、もし、家族で面談があっても、親が自己破産をしたことを申告する義務はありませんし、もちろん学校側も聞きませんし、そのような質問に答える必要もありません。
子供が就職・転職の場合
子供が就職する際には、履歴書に親の個人情報を書く必要はないため、何も心配は要りません。
また、自己破産の手続き中に、子供が就職活動や転職のタイミングが重なってしまっても自己破産の影響は子供にはありません。
親の職業には自己破産の影響として資格制限(職業制限)がありますが、子供の就職には全く影響がないのでどの職業にも就職できますし転職もできます。
資格制限とは、同時廃止の場合「破産手続き開始決定」から「免責許可決定」の確定が出るまでの約3ヶ月~4ヶ月ぐらいの一定期間、一部の限られた職業の人が仕事に就けないことを言います。
※但し、管財事件の手続きでは、さらに時間がかかる場合もあります。
資格制限が終了すれば、また職業は復権できますので、そこまで心配は要らないことが多いでしょう。
・弁護士
・司法書士
・公認会計士
・税理士
・行政書士
・社会保険労務士
・通関士
・公証人
・陪審員
・人事官
・後見人
・遺言執行者
・保護者
・風俗営業の営業所の管理者
・動物取扱責任者
・有料職業紹介事業の職業紹介責任者
・派遣元責任者
・警備員
・交通事故相談員
・金融機関の取締役・執行役・監査役
・保険会社の取締役・執行役・監査役
など他にも多数あります。
子供が結婚する場合
子供が結婚する場合にも、親の自己破産が子供に及ぼす影響は全くないでしょう。
なぜなら、自己破産の記録は、信用情報に事故情報が登録されますが、戸籍台帳に自己破産の掲載はないからです。
万が一、戸籍謄本や住民票などを取り寄せたとしても、どこにも自己破産の情報はありません。
誰にも知られませんし、安心していいと言えます。
また、結婚した後の子供夫婦にも、何一つ親の自己破産の影響はありません。
自ら言わなくてもいいですし、聞かれることもそうそう無いでしょう。
以上のことからお分かりになった思いますが、親の自己破産は子供に一切影響はしません。
親が自己破産をしても、子供に影響がないですから、安心して自己破産ができます。
自己破産をした場合の家族への影響のまとめ
自己破産をしても、家族が保証人になっていなければ家族の影響はないでしょう。
自己破産をした場合の家族に影響が出る可能性は以下の通りです。
- マイホームは処分される
- 保証人に一括請求がくる
- ローンが組めなくなる
自己破産をすると、多かれ少なかれ家族に影響があります。
しかし、それはほとんどが精神的な影響と言えるでしょう。
なので、辛い思いはさせてしまうかも知れません。
ただ、自己破産をしても家族が保証人になっていなければ、実質上、家族に影響はありません。
自己破産は、経済的再生のチャンスでもありますので、そのチャンスを生かすこともまた人生です。
不明点があれば遠慮せずに債務整理の実績の豊富な弁護士や司法書士事務所に相談してみましょう。
実績の豊富な事務所の場合、相談は無料で行なっているところが多いです。