時効の援用のデメリット

時効の援用とは、過去の借金の効果を消滅させる法的手続きです。

時効の援用にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

時効の援用を検討しているのであれば、気になるところですよね。

こちらでは、時効の援用のメリット・デメリットを詳しく分かりやすく解説しています。

では、早速参りましょう。

時効の援用のメリット

時効の援用のメリットは以下の通りです。

  • 借金の返済義務がなくなる
  • 財産を残したまま借金の返済義務がなくなる
  • ブラックリストに載らない
  • 連帯保証人の借金の返済義務がなくなる
  • 手続きが簡単で、結果が出るのが早い

では、一つずつ詳ししく解説していきましょう。

借金の返済義務がなくなる

借金には「消滅時効」という時効の期限があり、
この消滅時効は、民法第166条で5年と定められています。

たとえば、借金の最後の返済日から5年経過している場合、
時効の援用の手続き(主張)をすることによって、
過去の借金は消滅するわけです。

財産を残したまま借金の返済義務がなくなる

借金が消滅する、あるいは借金がゼロになる法的手続きには、次の2種類の手続きがあります。

  • 時効の援用手続き
  • 債務整理の自己破産手続き

自己破産は、裁判所に免責を認めてもらい借金の返済を免除してもらう手続きですが、
一定の財産以外の全ての財産を処分しなければいけない法的条件が付きます。

一方、時効の援用は、財産を残したままで借金の返済義務が無くなります。
自己破産のように法的リスクが一切ないのがメリットです。

ブラックリストに載らない

自己破産の場合、裁判所を通す手続きのため、信用情報に事故記録が残ります。
いわゆるブラックリスト状態です。

時効の援用は裁判所を通さずに手続きをするので、信用情報に影響はありません。

と言っても、時効の成立前は信用情報に延滞記録の事故情報が記載された状態(ブラックリスト状態)です。

しかし、時効の成立(最後の返済から5年経過)をした後に時効の援用の手続きをすることで、
借金が完済(消滅)したものと扱われるため、
信用情報に記載されていた延滞の記録が削除、または訂正されます。

つまり、信用情報が復活した状態に戻るワケです。
ただし、延滞の記録が削除、または訂正されるタイミングは、信用情報機関によって異なります。

時効の援用をすることで、また新たにローンが組めるようになったり、クレジットカードが作れるようになります。

連帯保証人の借金の返済義務がなくなる

結論から言いますと、借金をしている本人(債務者)が時効の援用をした場合、
連帯保証人も時効の援用が適応されるため、借金は消滅します。

この場合「保証人」でも「連帯保証人」でも、借金は消滅します。

連帯保証人が債務者の時効の援用をした場合

連帯保証人が借金をしている本人(債務者)の時効の援用をした場合、
借金をした本人の時効の援用が成立すれば、それに伴って連帯保証人の借金の借金は消滅します。

連帯保証人が連帯保証人のみの時効の援用をした場合

連帯保証人が自分(連帯保証人のみ)の時効の援用をした場合は、
時効の援用は連帯保証人のみに適応され、連帯保証人の返済義務はなくなります。

ですが、借金をしている本人(債務者)の時効の援用は成立しないため、借金は消滅しません。

従って、連帯保証人が自分(連帯保証人のみ)の時効の援用をした場合、
連帯保証人の返済義務はなくなりますが、
借金をしている本人(債務者)の返済義務は残ったままになりますので、この点は注意が必要です。

手続きが簡単で、結果が出るのが早い

時効の援用の手続きは、実はとても簡単にできます。

時効が成立したことを確認して、
債権者に時効の援用の意思表示をする手続きです。

具体的には、「時効援用通知書」という書類を債権者に送付する必要があります。

既に時効を迎えている借金は、
時効の援用手続きをするだけで完了します。

早ければ2週間~3週間ほどで結果がでますし、
遅くても1カ月程度の時間で完了します。

ただし、重要なポイントがいくつかあります。

最も重要なポイントは、時効が成立していること。
次いで、債権者からの訴訟や差し押さえを受けていないことや、借金の承認をしていないことです。

確実に時効の援用をするには、
弁護士や司法書士といった法律の専門家に依頼をした方が良いでしょう。

法律の専門家に依頼をするメリットに、時効の調査をしてくれることが挙げられます。

彼等は時効の援用のエキスパートなので、
時効の援用の時効の成立が確実に経過しているか、
直接債権者に確認をしてくれるので、時効の成立の調査は誰よりも確実です。

また、書類の作成・送付、時効の援用が完了したことまで確認をしてくれるのでとても安心です。

実は、
債権者に送付する「時効援用通知書」に法律家の事務所名が入ることで、
債権者はすんなりと、時効の援用を承諾してくれます。

この書類の送付(時効の援用手続き)は自分でもできますが、
債権者の中には時効の援用を個人で行うと、
阻止しようと連絡を取って来る債権者もいます。

あの手この手を使い、知らぬ間に「借金の承認(借金を認める)」するように仕向けてくることがあります。
借金の承認をすることがないように十分気を付けないといけません。

その点、法律の専門家に依頼をすれば、
債権者とのやり取りも、時効成立の確認も、書類の作成・送付、時効の援用の確認まで、トータルしてお願いできるので安心です。

時効の援用のデメリット

では、時効の援用にはどのようなデメリットがあるのでしょう。
以下のデメリットがあります。

  • 時効の成立の見極めが難しくリスクがある
  • 過払金請求をすると時効の援用ができない
  • 延滞損害賠償請求のリスクがある
  • 法律の専門家は費用がかかる

こちらも、一つずつ詳ししく解説していきましょう。

時効の成立の見極めが難しくリスクがある

時効の成立を見誤ると、債権者の督促や請求の引き金になってしまうリスクがあります。

自分で調べて大丈夫と思っても素人では見落としがちな点も多く、
確実に時効の援用をするは、より正確な時効の期間を知る必要があります。

時効の成立を見誤って時効の成立前に債権者に「時効援用通知書」を送ってしまった場合、
この行動がきっかけで借金を承認したとみなされ、
債権者から借金の督促や請求をされてしまうかも知れません。

そうなった場合、せっかく積み上げた時効の期間は更新(リセット)されてしまいます。

正確な期間を知るには、どうしても債権者とのやり取りは避けて通れないでしょう。
ここで、不用意な一言で時効の援用が中断しないように細心の注意を払わなければいけません。

特に、電話での口約束も時効の更新(リセット)に該当してしまいますので、言葉選びも慎重にしなければいけません。

信用情報機関に情報の開示請求をかけることもできますが、
安全に確実に時効の援用をするには、法律の専門家に頼るのが一番安全で確実で早いです。

さらに返済をしないでいると、
裁判を起こされてしまう可能性が非常に高まります。

裁判で判決(支払い命令や差し押さえ)が確定すると、
時効は更新(リセット)される上、時効の期間は10年に延長されてしまいます。

こうなると、次の時効の援用を待たずに債務整理などの手続きに移行した方が賢明です。

時効の援用手続きをする場合、
このような不測の事態を考えて、法律の専門家に相談・依頼をしておくと安心なので、オススメです。

延滞損害賠償請求のリスクがある

時効の成立前に債権者から裁判を起こされるなど時効の援用が中断された際は、
借金をした本人はもちろん、
連帯保証人がいる場合は両者同時に訴訟を起こされることがほとんどです。

この場合は両者ともに時効は更新(リセット)されます。

最も注意したい点は、
裁判を起こされて更新(リセット)した時効の期間は、
本来5年間経過すればできる時効の援用が、10年に延長されることです。

さらに、時効が成立しなかった(時効の中断)場合、
過去にさかのぼりその期間の延滞損害賠償請求がかけられます。

つまり、時効の援用が失敗に終わると、
時効の成立を待っていた期間の延滞損害賠償の支払いを一括払いで支払わなければなりません。

支払いができないと、連帯保証人がいる場合は、当然連帯保証人に請求がかかります。

連帯保証人がいる場合、
時効の援用が失敗に終わると借金問題が複雑化するので、
時効の援用が確実に行えるように早めに専門家に相談・依頼をしたほうがいいでしょう。

過払金請求をすると時効の援用ができない

過払金請求をした場合、
借金があることを認めた行為となるため、
過払金請求をした時点で時効の援用はできなくなります。

消滅する借金の残高と過払金請求で戻ってくる金額を比較して、
どちらが損をしないか慎重に判断をしなくてはいけません。

この場合、素人では判断が難しいため、
法律の専門家のアドバイスを受けた方が良いでしょう。

時効の援用を検討している方は過払金の返還請求も含め、
早めに法律の専門家に相談をして、
最も最適なプランを提案してもらうことをおすすめします。

ブラックリスト状態が続く

時効の援用が成立しなかった場合は、
信用情報は事故情報が登録されたままになります。
つまり、ブラックリスト状態が続くことになるわけですね。

そもそも、時効の援用をするときの信用情報は「延滞記録」が記載されているブラックリストの状態です。

時効の援用が成立すれば、信用情報の事故記録は消滅・訂正されますが、
時効が中断した場合はブラックリスト状態が続きます。

この場合、債務整理をして借金を整理する他手立てがありません。

時効の援用が成立しなくても、
債務整理をしても、
どちらにせよブラックリスト状態には変わりはありません。

なので、債務整理をして少しでも楽に借金を返済する方法を考えた方がいいでしょう。

法律の専門家は費用がかかる

当然の話ですが、法律の専門家に時効の援用手続きを依頼すると費用がかかります。

事務所にもよりますが、数万円はかかるでしょう。

しかし、自分で時効の援用手続きをすれば、
費用は数千円ほどで済みますし、数千円で過去の借金が帳消しになれば、それに越したことはありません。

信用情報機関に情報開示請求をして、時効の成立の確認をすればいいのです。

信用情報機関に登録の無い消費者金融の場合は、
債権者に直接返済履歴の開示を請求すれば、正確な情報が分かります。

果たして、本当に自分一人でここまでの、全ての手続きや作業ができるでしょうか?

時効の援用で消滅する借金が多ければ多いほど、
確実に時効の援用手続きを完了したいですよね。

書類の作成や債権者とのやり取りの手間がかかります。
また、ミスにより時効の援用が失敗に終わった場合などさまざまなリスクを考えると、
専門家に依頼をするという「保険」をかけた方が安心と言えるでしょう。

まとめ

借金の時効の援用は、法律で定められた借金の消滅手続きです。

最後の返済から5年以上経過していれば時効が成立しますので時効の援用手続きをしましょう。

ただし、時効の成立の期間を見誤ると、借金が消えないどころか復活してしまいます。
裁判を起こされ、延滞損害賠償金の請求をされる可能性もあります。

そのため、法律が伴う問題は法律の専門家を介して対処した方が、より安全で確実で安心だと思います。

借金問題を専門に扱っている法律の専門家の事務所なら、無料で相談を受付けていますので、
一度相談をしてみることも、解決方法のひとつではないでしょうか。