非免責債権

自己破産をすると、非免責債権と言う専門用語が出て来ます。
非免責債権とは何でしょうか?

自己破産をする上で、知っておきたい専門用語であることは間違いありません。
そこで、以下では非免責債権について分かりやすく解説した内容になっています。

非免責債権とは

非免責債権とは、わかりやすく言えば、自己破産しても払わなければいけないお金です。

具体的には、次のような租税や公課のことを言います。

・国の税金
・保険料
・慰謝料
・罰金
・損害賠償
・慰謝料
・養育費

租税とは、国に納める税金
公課とは、税金以外の国や地方公共団体支払う手数料、罰金など

一般的には、公益性が高い債権は非免責債権とされています。

非免責債権とは、憲法で決められている納税の義務により、国民が支払わないといけない責任があるお金のことを言います。

非免責債権は自己破産でも免除されない債権です

非免責債権は、自己破産をしても免除されません。
必ず支払わなければいけないお金です。

自己破産をするとき、裁判所が免責を許可する決定が出されれば借金は全て免除になります。
しかし、非免責債権は、自己破産をしても唯一免責が許可されないお金です。

これは破産法に明記されているため初めから決まっている事なので、いくら自己破産をしても免責にはなりません。

非免責債権とされる債権の種類

では、具体的に何を非免責債権とするのでしょうか?
非免責債権には、どのような種類があるのか見てみましょう。

非免責債権の主な種類は以下の通りです。

非免責債権の種類(破産法原文)

破産法 第二百五十三条

一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七 罰金等の請求権
2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。
4 第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。

出典:e-Gov法令検索「破産法」より
(参照:2022/07/10)

破産法の第253条の原文の状態で紹介させて頂きましたが、上記の破産法のままの表現では、少々難しいので以下で簡略化しました。

非免責債権の請求権

  1. 租税等の請求権
  2. 悪意で加えた損害賠償請求権
  3. 故意又は重大な過失により加えた損害賠償請求権
  4. 婚姻の分担の請求権
  5. 子の監護に関する請求権
  6. 雇用関係の預り金の返還請求権
  7. 知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
  8. 罰金等の請求権

これらの非免責債権は、請求権となっています。
分かりやすく言い換えるならば「請求権」=「支払い」と訳せば意味が伝わるかと思います。

租税等の請求権は、税金の支払い
子の監護に関する請求権、養育費の支払い
と言ったように、非免責債権はこのような支払いは免除されないと考えればいいわけです。

公益性が高いのに非免責債権ではないケース

公益性が高いのに、公共料金の支払いは免除される場合があります。

例えば、電気・ガス・水道です。
自己破産をした場合、電気・ガス・水道などの公共料金は免除されます。

ただし、下水道料金は非免責債権として扱われます。
水道の下水道設備は、公衆衛生上、上水道よりも公益性が高いということが理由のようです。

非免責債権が払えない場合の対処法

自己破産をしても非免責債権が免除されないなら、税金や保険料など滞納していたり払えない場合はどうしたいいのでしょうか?

非免責債権のような公共性の高い料金の支払いは、地域の役所に相談をするのがベストです。

税金なら…
納税課などに相談をして分割払いや減額、免除手続きなどの方法を教えてもらいましょう。

保険料や年金なら…
保険課や年金課などそれぞれの課に相談をすれば、一番最適な方法を教えてくれます。

非免責債権のまとめ

自己破産をしても免責されないのが、非免責債権です。

非免責債権とは、公益性が高い債権(国に支払う税金や保険料、罰金など)が、非免責債権と覚えておくといいでしょう。

自己破産をしても、非免責債権が払えない場合は、地域の役所に相談をするのがベストです。

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